前髪ぱっつん少年×MOCKEN×UtaKata 現在地の異なるオルタナティブが交わる"交差点"を見た!『Grasshopper』オフィシャルレポート

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2024年2月19日(月)、下北沢Flowers Loftにて、チケットぴあが若手バンドを応援するライブハウス企画『Grasshopper』のvol.21が開催された。今回はMOCKEN、UtaKata、そしてオープニングアクトに前髪ぱっつん少年の3組が出演。それぞれのオルタナティブがぶつかり合うパワフルな一夜となった。

前髪ぱっつん少年

オープニングアクトを務めたのは前髪ぱっつん少年。彗星の如く現れた秘密結社4人組。暗闇に浮かび上がる3つの少年のイラストが独特な世界観を醸しだす。

静けさの中メンバーが入場し放たれた一音目からその"ただものではない感"に一瞬にして目を奪われた。Vo.オーシャンズ・ネの突き抜ける凛とした歌声を底で支えるリズム隊、圧倒的な存在感を放つBa.ずまの歪んだサウンド。目まぐるしく繰り広げられる演奏は「ライブ」というより「ショー」という言葉が似合うほどに心を支配された。

クラシックの音色から激しい轟音と共に始まった2曲目は『犯行声明IV分前』。激しく赤い照明の中アップテンポなビートに揺れる会場、ライブハウスのフロアを怪しげな舞踏会へと変えていく、顔を隠していても滲み出るこの圧倒的"主役"感。

後半戦はポップな電子音でクラップを煽り、遊び心を感じるサウンドと展開で会場を盛り上げていく。最後は 『シイクレットアンヴレラガアル』。ツインボーカルの耳心地の良いユニゾンと、テクニカルなサウンドを真っ向から浴びてフィニッシュ。彼らの魅力に圧倒されたあっという間の25分間だった。

MOCKEN

2番手は、埼玉・越谷からロックバンドMOCKEN。1曲目は『海の向こうには』でスタート。朝の静かな海のように穏やかな音を刻む、そして徐々に徐々に上がっていき、心地よくサビで爆音が響き渡る。気づけばMOCKENの描く物語の1ページに巻き込まれていた。

「時に、あの頃の夏みたいな、映画みたいな小説みたいな短編映画を紡ぎたくて、ライブの中では人間として伝えたくてバンドやってます」

その言葉に、確信を持ったまっすぐな拳たちが会場を埋め尽くした。この瞬間の選択に間違いはないと。間髪入れずに続く『妄想彼女』。MCの言葉通り、情景がリアルに浮かぶ、ドラマを歌う。青春の1ページを切り取ったような甘酸っぱくも熱い気持ちになった。

後半戦は「STAND BY ME」から『Over fall』でスタート。「会いたい人がいるんです」とオレンジのライトに照らされ、色褪せない恋を歌う。続く代表曲『彗星』では、Gt.横山のオルタナティブ満載のリフと、壮大なロックサウンドが骨の髄まで響き渡り、ただただ痺れるような感覚に陥った。

Vo.Gt.永野が語るMOCKENとしての想い、彼らの音楽を聴く人への想いはステージには収まりきらないくらい大きかった。 その想いを音に込めて、真っ直ぐに放ち続けた40分間。彼らの音楽を聴く時その胸に込み上げてくる何かは、その想いなのだろうか。溢さないようにきちんと受け止めた。

UtaKata

トリを務めるのは本日唯一の3ピースバンド、UtaKata。「僕らの友達、かっこいいでしょ。僕たちは僕達の音楽をやりにきました」の一言でMOCKENを迎え撃つ。

1曲目は『燦々』で幕を開け、澄んだ空のような澄み切ったロックサウンドがFlowers Loftに響き、UtaKataの世界に引き込まれていく。間髪入れずに続く『起死回声』ではGt.安田が圧倒的なギタープレイを見せつけ、会場の熱量が急上昇。そのまま迎える代表曲『宣戦前夜』でボルテージは最高潮。サビ前の「いけますかっ」で観客が楽しそうに拳を挙げる姿に、笑顔が伝染していった。

中盤戦はしっとりと歌い上げる『空夏、藍に暮る』。サビの転調でUtaKata特有のサウンドが炸裂。続く『HPz』では青い照明の下、前半で熱を帯びた会場をクールダウンするかのようにエモーショナルなサウンドを繰り広げ、Vo.こーだいのロングトーンで会場中を魅了した。

後半戦は、空気は一変し轟音と共に会場中のジャンプを煽り『今ハ今ハ』『妄想症』を連続して披露。赤い照明の下、白いフロアがUtaKataの持つダークでテクニカルな魅力に色付けられていく。「どうでもいいや全部」。ヘイトや鬱憤を音に乗せ、叫び、キャッチーなサウンドに昇華した彼らの音楽は唯一無二のかっこよさを誇っていた。

「やってる音楽も土俵も違うけど、心からリスペクトしてます。あいつにカッコ悪いとこ見せらんねえよな!」

MOCKENへの熱い想いを乗せて歌うラストスパート。一見クールに見えるUtaKataだが、ライブは感情的で包み隠さずに全てを曝け出す、等身大の彼らの姿が何よりも輝いて見えた。

アンコールでは再び『宣戦前夜』と思いきや、ゲストボーカルにMOCKENからVo.永野が参戦し、『閃光前夜(宣戦前夜速いver.)』で会場の熱量は最高潮。そのまま続けてMOCKENメンバーを迎え、2組全員で『まほろば』を演奏。愛に溢れるコラボレーションで今日1番のピースフルな盛り上がりを作り出した。

形は違えど熱い想いを持った3組が交わった今日のステージ。そんな"交差点"をまたどこかで目撃したい。

Text by mnktron Photo by Ryohey Nakayama

<次回の公演情報>
『Grasshopper vol.20~Re-jump~』

4月22日(月) 下北沢DaisyBar
出演:まなつ/CULTURES!!!/極東飯店
詳細:https://fan.pia.jp/grasshopper/ticket/detail/28/

イベント公式サイト:https://fan.pia.jp/grasshopper/

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