前所有者「故郷へ帰り、喜んでいる」 足利市が天下の名刀取得 国重文「山姥切国広」 契約締結、3億円支払い完了

足利市民文化財団が取得した国重要文化財「山姥切国広」

 【足利】市は7日、市ゆかりの名刀で国重要文化財の「山姥切(やまんばぎり)国広」を外郭団体「公益財団法人市民文化財団」が取得したと発表した。購入額は3億円で、取得日は6日。取得後初の特別展を来年2〜3月、市美術館で開催する予定。前所有者は「信頼する足利の皆さまへ託し、後世へ引き継ぐことができると思うと、ホッとした気持ちでもあります」とのメッセージを寄せた。

 購入額のうち、財団が2億円を資金から捻出し、残る1億円は市がクラウドファンディング(CF)やふるさと納税で募った寄付金を充てた。

 CFなどには全国から計1億7013万7千円が集まった。CFの手数料など必要経費3923万4千円を除いた1億3090万3千円のうち、1億円を購入費に充て、残金は刀の維持管理に活用する予定。

 前所有者と財団が2月に譲渡契約を締結し、6日に支払いが完了した。前所有者は市を通してコメントを発表。「私たちの手から離れるのはちょっと寂しい気もします」とした上で、「山姥切国広は故郷へ戻り、安住できることを喜んでいるでしょう」と明かした。

 財団の笠原健一(かさはらけんいち)代表理事は「この貴重な文化財を適切に後世に引き継ぐよう尽力する」、早川尚秀(はやかわなおひで)市長は「前所有者の思いも引き継ぎながら、応援いただいた皆さまの期待に応える展覧会となるよう、全力で取り組む」とコメントした。

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