新・野球場計画で県が“ドーム型” を含む3案を提示…多額の建設費がかかる“ドーム型”には慎重な意見も(静岡県浜松市)

県が浜松市の遠州灘海浜公園に建設を予定している新たな野球場。川勝知事“肝いり”であるこの計画をめぐっては、8年前、予算案に野球場を建設するための関連経費を計上した際に、自民党会派が反発。野球場に関する費用を削除し、県政史上初めて「修正案」が可決される事態となりました。

川勝知事は今週、ドーム型を要望する浜松の経済界や市議を前に「ドーム型が望ましい」という考えを示しましたが、ドーム型の場合、多額の建設費がかかることについて懸念する声もあがっています。

屋外球場の場合、球場の照明が絶滅危惧種のアカウミガメに影響を与えることから、これまで「ドーム型球場」と「照明のない屋外球場」の2つの案を軸に議論されてきました。

県は2024年6月に基本計画の決定を目指していますが、7日に開かれた県議会建設委員会で3つの案を提示しました。

1つ目は建設費が70億円で維持管理費も最も少ない1万3000人規模の「屋外型」

2つ目は建設費が100億円で、プロ野球の試合も開催している静岡市の草薙球場と同規模となる2万2000人規模の「屋外型」

そして3つ目は、天候に左右されず野球以外にも幅広いイベントが開催可能な2万2000人規模の「多目的ドーム型」で建設費は370億円です。

県が提示した3つの案について県議からは賛成する声があった一方、多額の建設費を念頭に「ドームありきではないか」と指摘する声もあがりました。

(山本 隆久 県議)

「3案が出ているが、知事が市からの要望に対して、アカウミガメに与える影響も含めて、ほぼドームで固まるという発言をしている。ドームありきじゃないかという意見も県民から出るのでは」

(県の担当者)

「3案に優劣はつけていない、同等です」

(山本隆久 県議)

「アカウミガメは4月~5月に上陸して産卵する。10月~3月は影響はない。10月から日が暮れるのも早くなるので、ナイター照明で夕方6時、7時までは試合ができる方式をとることも有効。期間限定の照明付きという検討は考えられないのか」

(県の担当者)

「保護団体や識者に相談しながらとなると思う」

県議会建設委員会は、8日も開かれます。県は今後、パブリックコメントを実施し基本計画を取りまとめる予定です。

(スタジオ解説)

7日に示された新野球場の3つの案がこちらです。

1つ目が、「屋外型」で観客が1万3000人収容できるものです。建設費は70億円で「負担は少ない」ですが、プロ野球の試合を開催するには“小さい”とされています。

2つ目は、こちらも「屋外型」ですが収容人数は多く、2万2000人。プロ野球の開催は可能とされていますが、1つ目と同じく屋根がないので雨でイベントが中止になるなど、天候の影響を受けることがデメリットです。建設費は100億円です。

そして、最も注目され、7日の県議会でも意見が交わされていたのが3つ目の「多目的ドーム型」。建設費はグッと上がり、370億円、規模が大きくなるほど維持管理費の負担も大きくなります。こちらも2万2000人、ドーム型なので、天候に左右されず、いろんなイベントで活用できることが特徴です。

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