高校生に“夢への覚悟”を問いかける物語が話題!「夢なし先生の進路指導」作者・笠原真樹が作品に込める思いとは?

狩野英孝と倉持由香がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「まんが王国 presents 世界はまんがで出来ている!」(毎週土曜日19:00~19:30)。子ども向けから大人向けまで、「恋愛」「ビジネス」「ホラー」など、さまざまなジャンルで名作が毎年生まれ、今や日本が誇るコンテンツである「マンガ」。

番組では、お得感No.1の国内最大級のコミック配信サービス「まんが王国」にある膨大なデータを基に、さまざまなジャンルの作品をピックアップ。スマホ片手にリスナーと一緒にマンガ愛を語り合う、トーク番組です。

今回の放送では、ゲストに漫画家の笠原真樹(かさはら・まさき)さんが登場。現在連載中の漫画「夢なし先生の進路指導」(小学館)の制作エピソードや、アイデアが生まれるきっかけについて語ってもらいました。

(左から)パーソナリティの狩野英孝、倉持由香

◆“夢の否定”を作品のテーマにした理由は?

漫画家の笠原真樹さん(以下、笠原先生)は2011年に「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で誌上デビュー。2013年に「群青戦記 グンジョーセンキ」の連載をスタートし、同作は2021年に実写映画化されました。まずは、笠原先生から漫画家になったきっかけを伺いました。

笠原先生は24歳まで会社員を経験。会社の同僚が担当するお客さんがたまたま「SLAM DUNK」(集英社)の作者・井上雄彦先生だったことから、サインをいただくことに。そこから漫画家という職業に憧れを抱くようになり、仕事をしながら投稿作品を描き続けていたそうです。「30歳になるときになんとか漫画家になれました。これでダメだったら違う道に行こうかなと考えていました」と笠原先生は明かします。

現在「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載中の「夢なし先生の進路指導」は元キャリアコンサルタントの高校教師・高梨が主人公で、現実的な進路指導をおこなうことから、生徒からは「夢なし先生」と呼ばれています。生徒の「夢」に対して現実的なデータや世の中の実情を突きつけ、覚悟を問う物語が話題を呼んでいます。

それでも夢を追い、のちに夢に敗れどん底のなかでも諦めない生徒がいれば、高梨は卒業後でも手を差し伸べ「諦めるための授業」をおこないます。作品の着想について、漫画家を目指していた時期に苦しい思いがあったと笠原先生。

「世の中は『夢を持て』と肯定する人しかいなくって、そこに違和感があったんですね。僕ぐらいは夢を否定的に言ってもいいんじゃないかなと(思った)」と話します。高梨がなぜ夢に否定的なのかは作品における謎にもなっています。

◆オリンピックを見て漫画のアイデアが閃いた

「夢なし先生の進路指導」の第1話では、「声優」を目指す生徒に高梨が向き合います。1話のテーマを声優にした理由として、笠原先生は休業を発表する声優が多い点を挙げ、「何らかの構造的な負荷が本人たちにかかっているんじゃないかなと思って取材を始めたんですけど、そのなかでいろいろと“闇”の部分を聞きまして、1話目にふさわしいテーマなんじゃないかなと担当さんと決めました」と説明しました。

2話目以降は「電車運転士」「メンズアイドル」など、短編のなかで焦点があたるキャラクターは変わりますが、作中でつながりを感じられるのも本作の見どころの1つ。さらに「夢なし先生の進路指導」は週刊連載ですが、1つのテーマごとに取材期間をしっかり設けることで、物語の説得力を持たせるようにしていると笠原先生は語りました。

狩野が笠原先生に「漫画家になりたい後輩がいたら何と答えますか?」と質問すると、「僕も主人公と同じで、いろいろな現実的なことや個人の体験も伝えて『それでもやりますか?』と問い、覚悟を持ってもらえればと思います」とコメントしました。

これまで笠原先生は「夢なし先生の進路指導」(小学館)「群青戦記 グンジョーセンキ」「リビドーズ」(ともに集英社)とジャンルの異なる作品を手掛けています。番組では、笠原先生からアイデアの源泉を聞きました。

「群青戦記 グンジョーセンキ」は在学中の高校の校舎もろとも戦国時代にタイムスリップし、戦に巻き込まれていく物語です。当時、連載が決まっていなかった笠原先生が、深夜にロンドンオリンピックの競技を鑑賞していたときに「群青戦記 グンジョーセンキ」のアイデアが湧いたと明かします。

「アーチェリーとかフェンシングとか馬術とかって、昔の戦から派生して競技になっていったのかなと思ったんですね。そこから調べていって、もしアスリートが戦国時代に行ったら歴史ってどういう風に変わるのかなと思いました」と話し、スポーツ競合校にいた経験から、設定を高校にしたと説明しました。

最後に、笠原先生からの楽曲リクエストで不可思議/wonderboyの「Pellicule」をオンエア。選曲理由について、笠原先生は「自分がどん底にいたときに、この方の楽曲を聴いたら今の漫画のアイデアが浮かんだので選びました」とコメントしました。

「夢なし先生の進路指導」は現在、まんが王国で2巻まで配信中です。

「夢なし先生の進路指導」1巻

<番組概要>
番組名:まんが王国 presents 世界はまんがで出来ている!
放送日時:毎週土曜19:00~19:30
パーソナリティ:狩野英孝・倉持由香
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mangaworld/

© ジグノシステムジャパン株式会社