中国の保険会社「科学技術保険」でイノベーション支援

中国の保険会社「科学技術保険」でイノベーション支援

吉林省長春市の一汽紅旗繁栄工場の組立ラインで、車両を検査する従業員。(2月19日撮影、長春=新華社記者/張楠)

 【新華社上海3月7日】中国の保険業はここ数年、ハイテク企業や研究開発機関の生産、販売、研究開発などで生じた損失や賠償を補償する「科学技術保険」を通じて科学技術イノベーションを支援する新たなモデルを追求しており、現代化産業体系の構築にも貢献している。

 通信・電子部品大手、中国電子信息産業集団傘下の華大半導体はこのほど、保険大手、中国人民財産保険の上海支社と上海初の「自動車チップ専用保険」を契約した。華大半導体の担当者は「専用保険は経営上のリスクに保障を提供し、われわれの信用と競争力を高めることができる」と語った。

 中国人民財産保険上海支社の担当者によると、同保険は自動車チップ産業の企業向けで、補償内容は設計、研究開発、生産、販売などをカバーしている。

 企業のほか、大学の科学研究を支援することも科学技術保険の重要分野となっている。保険大手、中国平安保険(集団)の傘下で損害保険などを手掛ける中国平安財産保険の金華中心支店は2022年、浙江師範大学イノベーション研究院と「知的財産権保険戦略協力協定」を締結し、大学との協力を模索し始めた。

 中国平安財産保険浙江支社の関係者によると、「知財権保険」には主に専利(特許、意匠権、実用新案)、商標、版権などの保険が含まれ、同社は22年、浙江師範大学に10余りの特許で「出願料補償保険」を提供した。中国平安財産保険の23年の浙江省での知財権保険料収入は約877万3千元(1元=約21円)となり、補償規模は約3億1千万元に上った。

 地方政府が科学技術イノベーション支援を強化するにつれ、科学技術保険は各地で急速に発展している。うち上海の財産保険(損害保険)業界では23年、各種のハイテク企業と40万件以上の保険契約が交わされ、各種のイノベーション活動に5389億元を超えるリスク保障を提供している。

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