叔父の「葬儀で200万円」「お墓で100万円」もかかったそうです。両親2人の葬儀費用だと最低でも500万円? 私が準備しなくてはならないのでしょうか?

葬儀費用の平均は約152万円

SBI いきいき少額短期保険株式会社が全国の50 歳以上の男女1069名に対して実施した「“終活・葬儀”に関するアンケート調査」によると、葬儀費用の平均金額は、約152万円です。内訳で見ると以下のとおりで、葬儀費用100万円以下の割合が4割(44.6%)を超えています。

__・~50万円:12\.8%
・~100万円:31.8%
・~150万円:19.9%
・~200万円:17.8%
・~250万円:5.0%
・~300万円:8.8%
・301万円~:4.0%__

また、お墓にかかる費用には、墓石代や墓地代、管理料などが必要で、総額100万〜350万円程度が相場です。

自身の葬儀費用は100万円以下と考える人が約6割

同調査では、自身の葬式にかかる費用がどのくらいなのかについて、調査対象のうち約6割(59.2%)が100万円以下と回答しています。また、わからない、実施を考えていない人が約3割(29.8%)であるなど、葬儀費用やお墓にかかる費用について、高額ではない、または関心が低いことが分かる状況です。

葬儀費用のトラブルが複数発生している

独立行政法人国民生活センターのホームページにて、2023年の葬儀サービスやお墓に関する相談件数を以下のように伝えています。

__・葬儀サービス:93件(前年同期79件)
・お墓:111件(前年同期102件)__

相談内容は「どのくらいの費用がかかるのかやサービス内容について十分な説明がない」「葬儀の見積書がもらえない」「追加料金の上乗せによって高額な請求をされた」「葬儀会社に希望と異なる契約を勧められた」なといったものです。

トラブルを回避するために、見積書を提示し、費用について丁寧に説明してくれる葬儀会社を選ぶ、葬儀やお墓の希望を親と相談して情報収集しておくなどの対応をしておきましょう。

「預貯金の仮払制度」によって葬式前の必要資金などが仮払いされる

両親が亡くなった際に、葬儀やお墓にかかる費用を準備することに不安があったり、必要性があるかどうかを気にしたりする人は、預貯金の仮払制度について理解しておきましょう。

預貯金の仮払制度は、2019年の2相続法の改正によって制定され、遺産分割前でも単独の相続人によって、故人の預貯金の引き出しが可能です。

引き出し可能金額の上限は「相続開始時の預貯金残高×相続人の法定相続分×3分の1」で、金融機関ごとに150万円までです。金融機関の窓口に、仮払いの手続きを行う者の本人確認書類や印鑑証明書、戸籍謄本(法定相続人全員を確認できるもの)といった必要書類を提出することで、現金を受け取れます。

自分で葬儀やお墓にかかる費用を準備しなくても、故人名義の預貯金口座に残高があるなら、そこから引き出して充当することが可能です。

相続財産から葬式費用の控除が可能

相続税の課税額を計算する際には、相続財産から葬式費用を控除できます。控除できる葬式費用は、以下のとおりです。

__・火葬や埋葬、納骨費用(仮葬式と本葬式を行ったときには、その両方にかかった費用)
・遺体や遺骨の回送費用
・葬式の前後に発生した通常の葬式に欠かせない費用(お通夜など)
・葬式でお寺などに支払った読経料などのお礼にかかった費用
・死体の捜索、死体や遺骨の運搬費用__

なお、香典返し、墓石や墓地の買い入れや借り入れにかかった費用、初七日や法事にかかった費用は控除対象に含まれません。

両親が元気なうちに葬式費用について話し合っておこう

葬儀やお墓にかかる費用は決して安くありません。両親2人分で考えた場合、葬儀費用だけで300万円程度かかるケースも有り得ます。葬儀費用やお墓にかかる費用を子がすべてまかなうのは簡単ではないでしょう。

葬儀やお墓の費用について、預貯金の仮払制度について理解を深めておく以外にも、両親と事前にどのように準備すればよいのかを話し合っておくとスムーズです。

出典

独立行政法人国民生活センター 墓・葬儀サービス
独立行政法人国民生活センター 大切な葬儀で料金トラブル発生!-後悔しない葬儀にするために知っておきたいこと-
国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
SBI いきいき少額短期保険株式会社“終活・葬儀”に関するアンケート調査

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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