「エコノミークラス症候群」に要注意…災害時“車中泊”をせざるを得ない場合に気をつけるべきことは?

手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。3月2日(土)の放送では、車中泊をせざるを得ないときに「気をつけるべきこと」について紹介しました。

※写真はイメージです

能登半島地震の被災地では、今もなお避難所を避けて車中泊を続ける人がいます。その理由は、余震への不安、避難所はプライベート空間が保てない、ペットがいるため避難所に入るのをためらってしまうなど、さまざまです。

災害で自宅に住むことが難しくなったとき、避難所に身を寄せるのが基本ですが、いろいろな理由で車中泊を選ぶ人もいます。内閣府は、災害時の車中泊について“やむを得ない場合に限り”としています。車での生活が続くと、健康上のリスクが高まることが大きな理由です。

車中泊したときの健康被害で最も危険なのが「エコノミークラス症候群」です。これは、食事や水分を十分に取らない状態で、狭い座席に足を動かさないまま長時間座っていると、血行不良が起こって血液が固まってしまいます。その結果、固まった血液が肺に詰まり、肺塞栓などを誘発する恐れがあります。

これを予防するには、車内で足を伸ばして眠れる空間を作る必要があります。軽乗用車などのコンパクトな車は、前の座席のリクライニングシートを活用しましょう。ワゴン車やミニバンは、後ろのシートを前に倒して、トランクとつなげて余裕のある空間を確保し、厚手のマットを敷くと快適に過ごすことができます。

また車中泊のときは、エンジンをつけたままにするケースが少なくありません。しかし、エンジンをつけたままでいると、排ガスが車内に充満して一酸化炭素中毒が起こったり、枯れ草など可燃物に引火してしまうリスクがあります。特に一酸化炭素中毒は、車内にいても予兆を感じることなく意識を失ってしまうため、注意が必要です。

車を駐車する場所の選び方も重要です。

・傾斜地ではなく平らな場所、周囲に引火物がない安全な場所。
・ほかの人の迷惑にならない場所で、行政指定の避難所近くの駐車スペース。
・給水、トイレ設備のある施設の近く。

これらを満たした場所に駐車することが理想ですが、傾斜地に駐車する場合、サイドブレーキをかけていたとしても、余震などの衝撃で車が動いてしまい、それで事故が発生することもあるので注意しましょう。

アウトドア用品は車中泊に役立つアイテムが多くありますので、お持ちの方は、改めて確認することをオススメします。そのほか、エコノミークラス症候群を予防する着圧ソックスや携帯トイレ、水、アイマスク、マット、クッション、車用のカーテン(プライバシー保護のため)、非常食、ポータブル電源など、車中泊に役立つアイテムをあらかじめ車に載せておくことをオススメします。とはいえ、車中泊は“やむ得ない場合に限り”であることを忘れずに。

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2024年3月2日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2024年3月10日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/bousai/

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