ロボットが“手書き”してくれるサービスが開始→「無駄のない動きw」「はちゃめちゃ」まさかの書き順に300万再生。開発者に話を聞いてみた

「自動手書き」のサービスが話題になっています。

ロボットによる手書きサービスを提供する「自動手書き屋さん 」が2月1日、TikTokアカウントを更新。配送伝票をロボットに記入させる動画を投稿したところ、約6.8万件の「いいね」が集まりました。再生回数は300万回を超えています。

書き順はめちゃめちゃなのに……

ロボットに固定されたペンが、配送伝票の「お届け先」や「ご依頼主」などの欄に記入する様子が収められた今回の動画。

「ガシャンガシャン」とロボットらしさ全開の音を立てて、丸みを帯びた手書き風の文字を書き進めていきます。コピー機で印刷された文字とは違い、なんだか柔らかい印象です。

「◯◯県◯◯市◯◯区……」と枠からはみ出ささずに文字が書かれており、控えとなる複写伝票にもしっかりと字が複写されています。

ロボットに繊細な動きが求められるすごい技術だ……!

枠をはみ出ずに記入されています(「自動手書き屋さん」TikTokより) / Via tiktok.com

ただ、コメント欄でツッコまれているのが書き順。ロボットには書き順の概念がないのか、なんともカオスな順番で漢字が書かれていきます。

例えば「動」という漢字は、1画目を逆方向から描いた後に6画目、その後10画目を逆方向から書く……というような具合です。

動画には、「機械らしい無駄のない動きw」「書き順デタラメなのに書き終わるとめちゃくちゃ綺麗なの気持ちいい」「書き順はちゃめちゃでかわいい」など、書き順に関するコメントがたくさん寄せられています。

ロボットが手書きしてくれるアイデアを考えた経緯を知るべく、BuzzFeedは「自動手書き屋さん」に話を聞きました。

デジタルとアナログの双方の利点を活かせる「自動手書き」

様々な書体を手書きすることができます(提供写真)

「自動手書き屋さん」は今年1月1日に始まった新しいサービス。ロボットにペン先を持たせて文書を自動で書かせることで、「手書きの質感の良さ」と「手書き業務の効率化」を両立させています。

けがや体が不自由で手書きが難しい人の代筆や、日本語を書くのが苦手な人の手助けにもなるかもしれないと話し、「この仕組みが少しでも社会貢献できればいいな」と語ります。

ーーロボットに手書きしてもらうという斬新なアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか。

「文字を書く練習をしていた際、手書きの文字には特別な価値があるのではないかと感じ、筆耕の代筆サービスに対する需要が存在することを発見しました」

「『アナログ価値研究会』によると、手書きの文書はプリンターで印刷されたものよりも良い印象を与えるとの検証結果 があります」

「ビジネスそのものをDX化していくデジタル化の時代において、アナログのままでは効率が追いつかないと考え、調査・検討を進める中でロボット書きの導入が可能であることを見出しました。海外からロボットを導入し、『自動手書き屋さん』のサービスを立ち上げるに至りました」

「このサービスでは、手書きプロセスはロボットによりデジタルで効率的に行われ、そのアウトプットはアナログでありながら独自の味わいを持ったテイストで提供されます」

「デジタルとアナログの双方の利点を最大限に活かす『自動手書き』のコンセプトは非常に面白いと考えています」

変更可能なペン先が多様なスタイルを表現

ーー「手書きの良さ」とは何でしょうか。

「手書きは、プリンターで印字した画一的なものより個性的で、受け取る側の印象が良いとされています」

「例えば、営業のハガキや手紙などのDMは手書きにすることで、印象が良い=開封率が高い=営業の費用対効果が高いということになります」

「お客様の来場に対するお礼メッセージなどは、手書きにすることで、印象が良い=来場の満足度が高い=顧客満足度が高いということになります」

ーーペン先を細かく動かせるロボット、とても繊細ですね! 本体の仕組みや見た目について教えてください。

「ロボット本体は、ペン先を交換可能なペンプロッターとして構築されています。X軸、Y軸、Z軸用のモーターが動作し、ソフトウェアによって制御されながら文字やデザインを描いていきます」

「ペン先は多様に変更可能であり、これにより様々な質感やスタイルを表現することができます。この仕組みにより、手書きの個性や特徴を保ちながらも、柔軟に異なるスタイルや表現方法に対応できます」

ロボット本体の様子(提供写真)

ーー配送伝票の記入位置にきっちり書けています。書く文字や場所は、どのようにしてロボットにプログラムしているのでしょうか。

「伝票を画像データで取り込み、その上に別レイヤーで文字情報を配置し、最終的にロボットが書き上げるという手法を採用しています」

「文字情報のレイアウトにおける細部の調整が、最終的な出力のクオリティに直結してきますので、最も時間と手間を要する作業となっています」

ーー「書き順の酷さにはいつも笑わせてもらってます」など書き順に関するコメントが多いですよね。

「書き順に関しては調整可能ですが、文字情報を変換した際に1つの文字が複数のレイヤーで構成されており、そのレイヤー順で書かれるために一般的な書き順とは異なる独自のスタイルで制作されています」

「アウトプットの結果には問題がないため、そのままの形で公開していますが、この書き順が通常のものとは異なり、ユニークで面白い動画になっていることが反響の理由の一部と考えています」

「例えば、『花のところ死って書くのかと思って緊張が走ったww』とコメントがありましたが、書き順が違うと書かれる文字の予測ができなくて、それがワクワク感やドキドキ感が生まれ、面白味を増していると思われます」

ーー6万件の「いいね」を超える反響についてはどのように受け止めていますか?

「再生回数が300.5万回を超えるなど、非常に感謝していると同時に、反響の大きさに驚いています。いくつかの動画を公開していますが、この伝票を書く動画だけがバズっている理由はまだ理解しきれていません」

「また、単純に『すごい』と驚きを表現するコメントや、機械音が病みつきになりASMR的な要素で楽しまれている方も多いようです。皆様、本当にご視聴いただき、誠にありがとうございます」

・・・・・

始まって約2カ月の「自動手書き屋さん」のサービス。TikTokへの動画投稿などを通じてサービスを知ってもらうのが、当面の目標なんだそう。

「中長期的にはもう少し投資をして文字種を増やす、機械自体のレンタルや販売なども検討していきたいと考えています」と意気込みを見せました。

25種類のペン先と3つの書体を選ぶことができ(2月28日現在)、本人の直筆を取り込んで書かせることもできるとのこと。気になった方はお問い合わせフォームから相談してみるといいかもしれません。

© BuzzFeed Japan株式会社