自衛隊の弾薬庫ができれば隊員60人…計画地のさつま町長は「これだけの規模の企業は来ない」 住民説明会で感想

防衛省の担当者らに意見を伝える町民=7日、さつま町求名

 防衛省が鹿児島県さつま町中岳で検討する弾薬庫(火薬庫)整備について、町は7日、初の住民説明会を開いた。防衛省担当者は「攻撃を受けても弾薬庫は爆発しない」などと安全性を強調。会後の取材に、7月にも適地調査に入る見通しを示した。

 中岳がある薩摩地区の住民約300人が参加。九州防衛局の遠藤敦志企画部長は選定理由に町の誘致や必要な保安距離が確保できる点を挙げた。最も厳しい条件(火薬量40トン、病院が近接)の場合、弾薬庫から550メートルが必要と例示した。

 これまで弾薬庫で事故はゼロとし、攻撃リスクには「国全体の抑止力を高める」と説明。攻撃を受けた場合は、補償や復興施策も検討されると踏み込んだ。

 質疑応答では中津川区公民館長の寺脇伸治さんが、定期的な説明や水源への影響調査、シェルター整備などを地区の意見として要望。反対する住民は「弾薬庫は守られても、住民は守られない」と批判した。

 会で所感を問われた上野俊市町長は「説明で不安は払しょくされたと思う」と述べた。防衛省が資料で例示した隊員60人規模にも触れ、「これだけの規模の企業は来ない」と話した。

 同省は2024年度当初予算案に2年分の調査費として10億円を計上。地形や地盤強度、環境を調べ、2年以内に設計に入る可能性を示す。中岳は標高654メートル。調査範囲は2~3キロ四方、数百ヘクタールの国有林。

弾薬庫整備に向けた適地調査が予定されている中岳(中央)=4日、さつま町永野

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