ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨

[フランクフルト 7日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は7日、政策金利を予想通り据え置いた。インフレ見通しは下方修正し、想定よりも早く鈍化していることを確認した。

理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。

<制約的スタンスの縮小>

今回の理事会では、利下げについて議論しなかった。ただ(インフレ率がECBが目標とする2%まで低下するという)十分な情報が得られるという条件の下、制約的スタンスの縮小を巡る討議を開始するところだ。

<経済成長を犠牲にしない>

経済成長を犠牲にするということが問題になっているわけではない。タイムリーかつ持続可能な方法で目標を達成することを目指しているが、ECBの予測が示すように、2024年下半期、そしてより重要なことに25年と26年に回復が予測されている。ECBの成長率予測は25年が1.5%、26年が1.6%だ。プロセスにわずかな遅延が出ているが、われわれは予測を堅持する。

<4月理事会と6月理事会の違い>

4月の理事会までにあと少しのデータが入手される。6月の理事会マでにはさらに多くのデータが得られる。われわれはデータに依存しているため、この違いは重要になる。

< ロシアの凍結資産>

これは欧州委員会レベルで議論されている問題だ。主要7カ国(G7)で活発に議論されており、法的な影響も伴う複雑な問題だ。

<利下げについて討議せず>

今回の理事会では利下げについて討議しなかった。

<インフレ予測>

全てが目標に近いことを望んでいるが、総合インフレ率でもまだそこまで至っていない。2%に到達するまで待ち、2%になったら決断を下すなどと言っているわけではない。

<運用の枠組み>

われわれは運用の枠組みについて議論した。私の強い期待は、それが3月13日の会議で完成し、その後公表され、説明されることだ。

これはかなりテクニカルな問題であり、適切な見直しと説明が必要だ。

<ECBの利下げ時期に関する市場の再評価について>

(ECBの見解に)一段と収束しつつあるようだ。

われわれは予測を検討する。金融政策の影響を予測しようと努めており、そしてそれが市場が織り込んだ内容に左右されずに意思決定を行う方法だ。

<2%まで待つとは言っていない>

決断を下すために2%まで待つと言っているわけではない。

<インフレ>

全てが目標に近いことを望むが、まだそこには至っていない。総合インフレ率さえも至っていない。

われわれには責務があり、使命がある。中期的に2%のインフレ目標を達成することを決心している。

<現在のデータ>

たった一つのデータでわれわれの見解を変更しないという非常に広範な合意があった。そして現時点でデータに見られるものは、現時点でわれわれが十分な確信を得られるほどの力強さと耐久性を備えていないということだ。

われわれは全会一致で決定した。

<より多くのデータが必要>

(インフレ率の)明確な低下が進行中であり、インフレ目標に向けて順調に前進している。

その結果、われわれはより自信を深めているが、十分ではない。より多くの証拠、より多くのデータが必要なのは明らかであり、このデータは今後数カ月のうちに得られるだろう。4月にはもう少し多くのことが分かるだろうが、6月にはもっと多くのことが分かるだろう。

<ディスインフレ>

われわれはディスインフレの過程にあり、前進している。

<成長の下振れリスク>

経済成長に対するリスクは依然として下方に傾いている。

<賃金の伸び>

賃金の伸びが緩やかになり始めている兆候が出ている。

<エネルギー関連の政府支援>

各国政府は、ディスインフレのプロセスが持続的に進むよう、エネルギー関連の支援策の縮小を継続する必要がある。

<緩やかな回復>

調査結果で、今年にかけて徐々に(景気が)回復していくことが示された。インフレが低下し、賃金が伸び続ければ、実質所得は回復していくだろう。

<経済は弱い>

経済は依然として弱い。消費支出の抑制が続き、投資は減速し、企業輸出は減少した。

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