中国全人代の政府活動報告に初の点字版

中国全人代の政府活動報告に初の点字版

5日、北京で開かれた第14期全人代第2回会議で、指を滑らせ点字版の会議文書を読む王永澄さん。(北京=新華社記者/姚大偉)

 【新華社北京3月7日】中国の第14期全国人民代表大会(全人代)代表に視覚障害者として初めて選ばれた王永澄(おう・えいちょう)氏は、北京の人民大会堂で5日午前に開幕した第14期全人代第2回会議で点字版の政府活動報告を手にしていた。全人代に政府活動報告の点字版が登場するのは初めてとなる。

 18歳のときに不慮の事故で両目を失明した王さんは、困難を乗り越え、地道な努力を続けて視覚障害者医療マッサージの主任医師となった。王さんは養成クラスを開講し、福建省海峡視覚障害者マッサージ指導センターを創設。6千人以上の視覚障害者マッサージ師を無料で養成し、より多くの視覚障害者が自立の道を歩めるよう後押ししてきた。

 第14期全人代の代表に選出された後、各地の障害のある人々から訴えが次々と寄せられた。王さんは障害のある人々のために積極的に声を上げている。昨年の全人代では唯一の視覚障害者の代表として、視覚障害者の雇用や教育、バリアフリー環境の構築などに関する提案を4件提出した。

中国全人代の政府活動報告に初の点字版

5日、滞在先の部屋で、指を滑らせ点字版の政府活動報告を読む王永澄さん。(北京=新華社記者/史競男)

 昨年6月には全人代常務委員会会議に招かれて出席。教育段階に応じた点字教材や弱視者向け教材を編集、出版する提案を提出し、「バリアフリー環境建設法」の立法プロセスで採用された。

 全人代常務委員会代表工作委員会は昨年11月、教育部、国家衛生健康委員会、中国国家鉄路集団、中国障害者連合会と共に福建省福州市に職員を派遣し、全人代代表の活動で初めて作成された代表提案への点字版の回答を送り届けた。

 政府活動報告などの会議文書は現在、点字版も同時に公開されるようになった。王さんは代表としての職務をより円滑に遂行できるようになった。

 会議文書の点字版は、全人代会議事務局が今年初めて設立した点字翻訳グループによって作成された。グループは中国障害者連合会から派遣されたメンバーと中国盲文出版社の点字編集、翻訳、校正、印刷部門の主力人材で構成される。視覚障害のある点字専門家も3人含まれる。

中国全人代の政府活動報告に初の点字版

5日、政府活動報告に関する全人代福建省代表団の討議で発言する王永澄さん。(北京=新華社記者/高潔)

 3人のうちの1人である殷夢嵐(いん・むらん)さんによると、棒グラフや折れ線グラフなどの複雑なグラフは具体的で明確な図解テキストに変換。対照して調べやすいよう見開きにし、分量が多い文書は読みやすさや持ち運びやすさを考えて分冊化するなど、さまざまな工夫をした。

 王さんは「昨年初めて全人代の会議に出席した時は、滞在先の部屋に視覚障害者が利用できるよう設定されたパソコンが用意され、会場にはバリアフリーの通路が設けられた。今年の大会では点字版の文書が提供された」と語った。

 「今年は、介護サービス体系の充実と障害者介護の特別なニーズの重視、海峡両岸(中国の大陸と台湾)の障害者事業の融合発展の促進に関する提案を用意した。障害者事業の発展がより良く推進されるよう力を尽くしたい」と話している。

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