地震に負けず志望校へ 県立高の一般入試始まる 5218人、合格目指し全力

試験に臨む受験生=富山市の富山中部高

 県立高全日制の一般入試は7日始まり、34校82学科で5218人が社会、国語、理科の筆記試験に臨んだ。能登半島地震で、生徒の自宅や高校の周辺が被害に遭うなど、例年とは違う入試となったが、受験生たちは憧れの志望校合格を目指して全力を尽くした。

 伏木高を受験した高岡市芳野中の男子生徒は同高に在学している姉から学校の良さを聞いて受験を決めた。「地震の被害があったのは知っていたが、学校自体にはさほど影響がないようで安心した」と話した。同市志貴野中3年の男子生徒は「不安もあったけど、この学校に通いたい思いが強い」と話した。

 富山中部高探究科学科を受けた富大附属中の女子生徒は「余震が何日も続いて怖かった」と受験勉強を振り返った。富山市速星中の男子生徒は「地震への不安はあったが、集中して勉強してこられた」と自信をのぞかせた。

 県教委によると、欠席者数は30人。平均志願倍率は1.01倍で、受験者数とともに、記録の残る1999年度以降最少となった。定時制の課程単位制前期第1次選抜、特別支援学校高等部B日程と幼稚部の第1次選抜も実施された。

 最終日の8日は英語と数学の筆記試験が行われる。合格発表は15日。

  ●入試問題の分析

  ●社会

 3分野からバランスよく出題され、基礎的・基本的な知識を活用する問題が多く見られた。

 地理的分野の3(2)は地形図を題材としており、(1)は等高線を読み取ることで地形の断面を示した模式図を選ぶ問題、(2)は茶畑の地形の特徴を周辺と比較しながら説明する問題であった。いずれも資料の細部まで正確に読み取る力を問う良問だった。公民的分野の6(6)は、2023年に京都に移転した文化庁の仕事内容と、各地方の文化財の割合を示した二つの資料を関連付ける問題であった。複数の資料から情報を的確に読み取り、活用する力が問われた。

 日頃から社会に関心を持ち、身の周りの出来事と学習内容を関連付けていく習慣を身につけることが重要だ。(富山市三成中・岡田健亮教諭)

  ●国語

 各領域の内容のバランスが取れた適切な出題だった。

 「二」の6、7は問われていることを的確に理解する力が必要だった。「三」の7は文章を簡潔にまとめる力が問われ、難しいと感じた生徒もいたのではないかと思われる。「四」は、和歌にある作者の言外の思いを読み取らなければならなかった。「五」の作文は、自分が書いた文章の表現の工夫を説明することが求められ、難易度は高いが、表現力を問う良問だった。

 表面的な部分だけでなく、文章を深く読み、答えなければならない記述問題が多かった。日頃から表現に即して内容を読み取り、それを自分の言葉で書く力を高めていかなければならない。(富山市水橋中・元橋律子教諭)

  ●理科

 中学校3年間の各領域からバランスよく出題された。基礎的・基本的な知識を問う問題のほかに、グラフや表から実験結果を読み取り、思考や計算を繰り返して正解にたどり着く問題が目立った。

 問4(4)は、音の学習で身に付けた計算技能を活用して考える問題だった。問4(5)は、図中の説明とグラフを照らし合わせて、点灯の様子を推察する必要があり、冷静な考察力が問われた。問5(4)は、実験1、2の結果を表などにまとめると解きやすいが、説明文の理解が難しく、戸惑った生徒も少なくないだろう。

 日頃から基礎的・基本的な事象への理解を深めるとともに、実験結果を理解して自分なりに表やグラフにまとめる習慣付けが重要である。(富山市山室中・吉田秀徳教諭)

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