日立製作所ら/据付位置調整装置を開発、エレベーター据え付け作業を半自動化

日立製作所と日立ビルシステムは、エレベーターの据え付け作業の工期を短縮する新技術「据付位置調整装置」を開発した。ガイドレールの位置調整やドア開閉用敷居溝の設置などを、経験が浅い技術者でも早く正確に作業を行える。従来、ハンマーでたたいて位置調整していた据え付け作業時間を約30%低減できる。人手不足や、4月から建設業界に適用される時間外労働の上限規制に対応する。
同装置はエレベーターの施工能力不足に対応する新技術。エレベーターの上下移動に必要なガイドレール設置時の位置調整作業を半自動化する「レール位置調整装置」と、エレベーターの乗り場とドア開閉用の溝(シル)を建屋の床の高さに水平に設置する作業を半自動化する「シル位置調整装置」で構成する。
レール位置調整装置は、昇降路の天井からピアノ線を垂直におろし、ピアノ線に沿ってガイドレールを昇降路内の梁に仮止めした後に適用する。光センサーでピアノ線を検出し、四つのアクチュエーター(加力装置)を制御して昇降路内の梁に仮止めしたガイドレールの前後左右方向の位置を半自動調整する。
シル位置調整装置は、建屋の床材が置かれる高さにシルを持ち上げ、前後左右の位置を合わせる。傾斜センサーでシルの水平度データを取得し、アクチュエーターを制御してシルを自動調整する。
開発に当たり据え付け作業マニュアルをデジタル化した。スマートフォンでマニュアルを閲覧可能にし、900ページ分の紙面を削減。常に最新情報をアップデートできる。作業のポイントを伝える動画コンテンツも用意し、熟練技術者のノウハウ伝授に役立てる。
同装置は、最新の標準型エレベーター「アーバンエース HF PIus(エイチエフプラス)」の据え付け作業で運用する。今後、同装置や製品構造の改善、高層ビル向けのオーダー形エレベーターなど他の昇降機種に導入する。同エレベーターは年間3500台程度の導入を見込み同装置を適用していく。将来に向けたさらなる据え付け作業の自動化技術も研究する。

© 日刊建設工業新聞社