日大、ものつくり大学、鹿島、岡部/型枠一本締め工法の実大施工実験開く

◇パタをアルミに代え、生産性アップ
日本大学材料施工研究室、ものつくり大学建築材料施工研究室、鹿島、岡部の4者は6日、「型枠一本締め工法」の実大施工実験見学会を埼玉県行田市のものつくり大学で開いた。見学会には首都圏の型枠工事会社約30社、計約50人が参加。70年変化のなかった在来工法に代わる新工法に、参加者は強い関心を寄せていた。
型枠工事は通常、型枠の仮設補強材としてパタ(端太)と言われる単管パイプや角材パイプを使用する。パイプは鋼製で、2本1組の鋼製パイプとそれを結束するフォームタイ(緊結金具)を使い、組み立てる。作業は上下のパイプを支えながらフォームタイで締め付けていくため、重い鋼製パイプが苦渋作業となっていた。
新工法は鹿島と岡部が共同開発した。新型アルミパイプ1本と、専用に開発されたフォームタイとジョイントで構成。新型アルミパイプは1本で支持可能な強度を確保できるようカマボコ型の断面形状が特徴。専用ジョイントは新型アルミパイプにかぶせてはめこむことで1本につなげる接続材となる。専用フォームタイは専用ジョイントを2カ所以上締め付けることで、型枠としての強度を担保。下のボルトがパイプを支えるため、締め付け時に片手を添える必要がない。
材質が鋼製からアルミ材に代わったことで1平方メートル当たりのパイプ重量は3分の1に減少。パイプ数も2本から1本に半減し、歩掛かりも約2割向上するという。転用回数が多いほど有効なため、床にも適用するすれば生産性が一層向上するほか、部材運搬台数の削減やリサイクル率の高いアルミ材の使用で環境負荷の低減にもつながる。
公開実験では、型枠一本締め工法で定尺合板を縦使いとした高さ1・8メートルの壁型枠を対象に、壁型枠の構成を12パターンに変化させ、コンクリート(ペースト)の打ち込みで型枠に作用するコンクリートの側圧と、側圧による型枠の各構成部材(せき板、内端太、外端太、締め付け金物)の変形量を測定する。
壁型枠は日本大学とものつくり大学の学生が日本型枠工事業協会の会員企業の協力を得て製作し、打設作業も学生らが行った。実験結果の速報はできるだけ早くまとめ、公表する。質疑応答ではコスト面や専用フォームタイなどの生産体制、在来工法で使用している単管パイプとのハイブリッドでの施工の可能性などの質問が相次ぎ、関心の高さがうかがえた。
同工法は既に数現場で実施工に採用され、型枠工から作業性などで高い評価を得ており、近く岡部が本格的な販売に乗り出す。

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