爆発的に燃え上がる…「天ぷら油火災」や「電子レンジ火災」で〈絶対にやってはいけない〉NG行動【元レスキュー隊員が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

元レスキュー隊員として「助かる命を助けるために」をテーマに、防災YouTubeチャンネル「RESCUE HOUSE」を運営するタイチョー氏。本連載では、同氏の著書『消防レスキュー隊員が教える だれでもできる防災事典』(2022年刊行、KADOKAWA)より一部を抜粋し、自分や大切な人の命を守る知識やテクニックを紹介します。前回に引き続き、今回も「火災の対処」を見ていきましょう。

<前回記事>

【防災】実は超簡単!消火器は〈ピン・ポン・パン〉で誰でも使えます【元レスキュー隊員が解説】

日常生活に潜む「身近な火災」…原因と対処法を知っておこう

揚げ物などの調理中に鍋から出火した際、消火しようとして慌てて水をかけると炎が爆発的に大きくなり、油も飛び散ってとても危険です。次の手順で窒息消火しましょう。

1. 水で濡らして絞ったタオルを用意する

2. 鍋のふちを完全に覆うようにしてタオルをかけ、窒息消火する

3. 安全な状態になったらコンロの火を消す

なお、再燃焼する危険があるため、火が消えてもすぐにタオルを取ってはいけません。

【図表】天ぷら油火災の火の消し方 出所:タイチョー著『消防レスキュー隊員が教える だれでもできる防災事典』

電子レンジを使うと危険な食べ物

消防レスキューが出動することが多かったのが、「食べ物の加熱しすぎ」による電子レンジ火災です。

なかでも「さつまいも」と「中華まん」は電子レンジで5分以上加熱すると、水分が蒸発して可燃性ガスが庫内にたまり、爆発的に燃え上がる危険があります。

これらの食品を電子レンジで調理する際は「短時間」「その場から離れず様子を見る」を徹底し、電子レンジ付近には可燃物を置かないようにしましょう。

「身近な火災」の注意点

【NG行動①】電子レンジ火災時に「扉を開ける」

電子レンジ内で出火した際、すぐに扉を開けてはいけません。慌てて扉を開けると、酸素が入り、爆発的に燃え上がる危険があります。まずはコンセントを抜いて電源を切り、火が消えるまで様子を見ます。消えない場合は消火器で消火を行いましょう(扉は開けない)。

【NG行動②】「屋内で」スプレー缶のガスを抜く

部屋の中でガス抜き作業をすると、たばこの火や静電気などで火災が発生する危険があります。余ったスプレー缶のガスは必ず外の風通しのいい場所で抜きましょう。

\---------------------------------------------------------

【ワンポイント】助かる命を助けるために…

消火に失敗した場合には、燃えている部屋の扉を閉め、煙が他の部屋に入らないようにして燃え広がるのを遅くする

\---------------------------------------------------------

タイチョー

株式会社VITA 代表取締役

元大阪市消防局職員/防災アドバイザー

元レスキュー隊員として「助かる命を助けるために」をテーマに、防災YouTubeチャンネル「RESCUE HOUSE」を運営。災害現場のリアルな声とともに、災害大国ニッポンならではの「気づき」を日々発信している。YouTube登録者29.5万人(2024年2月時点)。

© 株式会社幻冬舎ゴールドオンライン