田中哲司 ,安達祐実, でんでんetc.出演 赤堀雅秋プロデュース『ボイラーマン』開幕

新作・赤堀雅秋プロデュース『ボイラーマン』が東京・本多劇場にて開幕。
時に無様な、時に滑稽な、そんな様をみせる人間たちの機微を独自の 観点から描き出し、独特のユーモアを交えながら、あたかも観客が登場 人物たちの日常を覗き見しているような不思議な空間へと誘う。
劇作家・演出家・俳優であり、近年では映画監督としても高い評価を得ている赤堀雅秋の新作書き下ろし公演。
主演は、赤堀と幾度もタッグを組んでいる日本演劇界に欠かせない俳優・田中哲司、田中との本格的な共演は初となるヒロインには多岐に渡り活躍の安達祐実。唯一無二の存在感を放つでんでんとは「神の子」に次ぎ赤堀と2度目のタッグを組む。そのほか村岡希美、水澤紳吾。今回赤堀作品初参加になる元乃木坂46樋口日奈、薬丸翔。赤堀作品「蜘蛛巣城」に続き2度目の出演となる 井上向日葵。

<作・演出・出演:赤堀雅秋>
他者から見たら「いつもと変わらないじゃないか」と笑われるかもしれませんが、今作は自分にとってかなりの挑戦でした。暗中模 索で、どこに辿り着くか判然としないままの作劇でしたが、それでもワクワクしながら歩みました。心強いスタッフ・キャストの皆さ んの力を借りて、いよいよ開幕します。正直、開幕しても、どこに辿り着くかはいまだにわかりません。だからとても怖いし、同時に 楽しみでもあります。是非劇場に目撃しに来て下さい。

<田中哲司>
心を揺さぶりながら、ミスを恐れずギリギリのラインで攻めの演技を心がけて挑みたいと思います。いっぱいいっぱい で生きている様々な人の人生の一コマが、一晩、狭い街角でほんのひと時交錯する。この素敵な物語りを繊細に丁寧に 1 ヶ月 一緒に頑張った仲間たちと紡いでいきたいです。因みに好きな台詞は『8位の人です』『我々のおでん』です。

<安達祐実>
いよいよ初日です。稽古が始まってから今日まで、ずっと楽しくて、苦しさすらも楽しくて、初日を迎えられたことをと ても嬉しく思っています!私にとってボイラーマンは、ひこうき雲みたいな存在。あ、ひこうき雲だって薄ぼんやり眺めるけど、触ること も留めることも出来ない。作品の中の登場人物達は、みんな生きていて、はち切れそうになりながらもちゃんとそこに居る。愛おし いです。心をパンパンにして、劇場でお待ちしてします。

<でんでん>
赤堀作品に参加すると、鍛えられます。それがどこの方向に鍛えられてるのかはわからないけど。開幕の心境として は、食欲が失せ、気力もなえ、不安のカタマリです。線が細いのです。とても小学生が遠足を待っているような気持ちではなく、は っきりいって戦場にむかうような感覚です。本当に肚が座るのは、出番直前ですので、力をいれて、リキまずに(エネルギッシュ に)臨みたいと思っています。「なんか久しぶりに楽しいなあ」ってセリフがあるのですが、はやくそのような気持ちになりたいなぁで す。

<村岡希美>
稽古を終えた今、本多劇場の今回のこのセットのなかでボイラーマンの世界に浸ることがとにかく楽しみです。登 場人物 1 人 1 人の心の奥底が静かに、そして時に激しく揺さぶられ、その振動がお互いに連鎖しながら紡がれてゆく作品です。 初日の緊張感はもちろんあると思いますがその静かな振動の連鎖に敏感に、そして丁寧に向き合ってゆきたいです。稽古場では 皆さんそれぞれの繊細な表情の変化に釘付けでした。劇場空間の中で日々お客様と共にじっくりとこの世界観を味わいつくしたい です。

<水澤紳吾>
舞台ならではの緊張感にヒリヒリしております。目の前の相手、状況をしっかり感じて生々しく立てているようにした いです。なかなかうまく生きていけない人達の、ダメで、不格好で、切実で、懸命な姿は、おかしく、もの悲しいです。赤堀さんの 作品に出てくる人物に、私は共感することが多く、ですので、必死でやって、なんとか何か心に残るものを捻出できればと思いま す。よろしくお願いいたします。

<樋口日奈(※ご留意点「樋」は点が二つのしんにょう)>
自分が抱くイメージを「逸脱すること」、新鮮な気持ちで舞台の上に立ち 「実存すること」を大切に毎公演臨みたいです。今回始めて赤堀さんの作品に参加させて頂きます。赤堀さんの描く世界に登場す る人物は、なぜだかわからないけど、どこか愛おしく思える瞬間があると、お稽古場で皆さんのお芝居を拝見しながら感じておりま した。私が演じる”若い女”にもそんな瞬間があるのでしょうか…。見に来てくださった皆さまの心に、どのような感覚が残るのか、 すぐさま感想を教えていただきたいほどに楽しみです!

<薬丸 翔>
身が引き締まる思いで、開幕を待ち構えています。まだやらなきゃいけないことが多くあると思っています。自分を疑 い、慢心せず、本番になったら色んなものを脱ぎ捨てられる柔軟さを持って本番に臨みたいと思っています。誰か特定の人が「ボイ ラーマン」なのだと思っていましたが、「誰か」がではなく、「誰しも」がボイラーマンなのではないかと今はそう思っています。生きる 希望とかそういうものではなく、それでも生きていくという決意を感じる作品なのだと個人的には思っています。

<井上向日葵>
この作品をお客さんの前で演じる時、どのような反応があり、作品の空気がどう変化していくのか全く予想が出 来ません。だからこそ日々の違いを新鮮に感じながら楽しんで演じていきたいです!登場人物たちがどこから来てどこに向かってい くのかは、観る人によって応えが変わってくるのではないでしょうか。舞台上の一瞬一瞬を、ただぼんやり眺めてみたり、時には細部 に注目してみたり、ぜひいろいろな視点でお楽しみいただけたらと思います。

物語
冬、夜が更けつつある頃。古いマンションを挟むように Y 字になった二股の道があり、左には石段、右には細い路地が続いている。電話ボックス、自 動販売機、ごみ集積所、放置自転車。何処にでもある片隅の光景に、一人、喪服の女(安達祐実)が現れた。続いて石段の上からは中年男 (田中哲司)。互いをやり過ごした後、残った男は煙草に火をつけ、それをマンションの住人である中年女(村岡希美)が見咎め、糾弾する。 体調の悪そうな警官(赤堀雅秋)が現れ、中年女とのやりとりから、この町で連続放火事件が起きていることがわかる。さらには奇矯な言動の老 人(でんでん)と、彼を庇護する様子の小柄な女(井上向日葵)、喪服の女のつれの男(水澤紳吾)、マンションに住むキャバクラ勤めの若 い女(樋口日奈)と彼女を追い回している様子の若くもない男(薬丸翔)という手近な関係以上には繋がるはずのない 9 人が、その夜、偶然 Y 字路の周辺で行き会った。そこに行かねばならない、居なければならない理由はきっと誰にもなかったのに。消防車のサイレンが聞こえてくる。夜 空が明るくなるほどの火の手が上がり、町を赤く照らし出す。中年男は甲州街道を見出せるのか。

彷徨う 9 人は夜の涯てを越え、朝に辿り着けるだろうか。

<取材会レポ>

概要
作・演出:赤堀雅秋
出演:田中哲司 安達祐実 でんでん 村岡希美 水澤紳吾 樋口日奈 薬丸翔 井上向日葵 赤堀雅秋
日程・会場:2024年3月7日(木)〜20日(水・祝) 本多劇場
企画・製作:コムレイド
問合:boilerman2024@gmail.com

公式 HP:https://www.comrade.jpn.com/boilerman/

撮影:引地信彦

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