NTTリーグワンV戦線を占う全勝対決! 埼玉WK×BL東京、3/9キックオフ!!

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後半戦一発目から全勝対決である。シーズン後半、そしてプレーオフトーナメントを占う大一番である。『NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24』第9節で埼玉ワイルドナイツと東芝ブレイブルーパスが激突する。

ともに8戦8勝。勝点38で埼玉WKが1位、勝点37のBL東京は2位で続く。ここまでの両軍の戦いぶりは埼玉WKが第1節・横浜キヤノンイーグルス戦53-12、第2節・近鉄花園ライナーズ戦49-0、第3節・ブラックラムズ東京戦44-17、第4節・トヨタヴェルブリッツ戦43-27、第5節・三菱重工相模原ダイナボアーズ戦81-21、第6節・三重ホンダヒート戦70-12、第7節・東京サンゴリアス戦24-20、第8節・静岡ブルーレヴズ戦45-19。

一方、BL東京は第1節・静岡BR戦43-30、第2節・東京SG戦26-19、第3節・コベルコ神戸スティーラーズ戦46-39、第4節・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦24-20、第5節・三重H戦40-12、第6節・トヨタV戦28-12、第7節・横浜E戦27-7、第8節・花園L戦50-32。埼玉WKがリーグ最多409得点を叩き出すとともに、リーグ最少の128失点を誇っているのに対して、BL東京はリーグ4位の284得点、2位の171失点である。

前節のパフォーマンスも埼玉WKに分があった。相手は静岡BR、舞台は敵地・ヤマハスタジアム。昨年4月15日・熊谷スポーツ文化公園ラグビー場での『NTTリーグワン2022-23』第15節で25-44と黒星を喫し、『トップリーグ』時代から続いた35連勝、公式戦47戦無敗の記録を止められた因縁がある。

前半25分まで埼玉WKが追う展開となるが、26分にLOルード・デヤハーが近場を突いて12-12と試合を振り出しに戻すと、5分後にはSH小山大輝がラック周りを抜け出して逆転。34分にはFB山沢京平のショートパントに走り込んだCTBディラン・ライリーがトライと思いきやノックオン。しかし、すぐさまライリーがインゴールにボールを叩き付けて26-12で折り返した。

ルード・デヤハー(埼玉ワイルドナイツ) (C)JRLO
ディラン・ライリー(埼玉ワイルドナイツ) (C)JRLO

後半早々には急遽メンバー入りし、リーグワンデビューとなったWTB丹治辰碩が初トライをマーク。45分静岡BRに17フェーズの末に1本返されたが、60分セルフジャッジして一瞬動きが止まった相手守備陣の隙をデヤハーが逃さずにこの日2本目のトライを決めて勝負あり。67分には残り5mのラインアウトからモールでHO坂手淳史がインゴールになだれ込んで45-19とした。

試合後、ロビー・ディーンズ監督はこうゲームを振り返った。
ディーンズ監督「素晴らしい試合だった。ブルーレヴズのホームで、ボーナスポイントを取って勝利できたことをうれしく思う。選手には毎試合学んでいこうという話をしている。ゲームコントロールやマネジメントの部分は、昨季よりも良くなっている。今日は集中力を切らさず、常に冷静にプレーできた」

ロビー・ディーンズ監督(埼玉ワイルドナイツ) (C)JRLO

HO堀江翔太を先発に回した意図を問われると、指揮官は「スクラムがこの試合の重要事項だと認識してコンビネーションの観点から判断した。クレイグ・ミラーとヴァル アサエリ愛とのコンビネーションも背景にある。通常この3人は試合を終わらせるフィニッシャーで登場してきたが、稲垣啓太のコンディション、試合の入りの部分から相手にプレッシャーを与えるという観点から判断した」と答えた。

ゲームキャプテンも務めたHO堀江もスクラムの重要性を理解していた。
「昨季はスクラムで負けてしまい、リズムを止められてしまったので、特に前のミルジー(ミラー)とアサには話をして、この1週間をかけて準備してきた」

対するBL東京は7戦全敗で最下位に沈む花園Lと対戦。3分、モールからHO原田衛が幸先よく先制トライを奪うと、ここからオープンな展開に突入。10・13分と花園Lに立て続けにトライを許すと、21分には早いリスタートからLOワーナー・ディアンズがねじ込んだ。26分SOクウェイド・クーパーにPGを通されて10-15とされたが、31分にCTBセタ・タマニバルが体を回転させながらタックルをかわしてトライ、前半終了間際にFB豊島翔平がインゴールライン寸前まで迫るとタマニバルがピック&ゴーで連続トライ。SOリッチー・モウンガのCGも2本とも成功して24-15で前半を終えた。

セタ・タマニバル(東芝ブレイブルーパス東京) (C)JRLO
リッチー・モウンガ(東芝ブレイブルーパス東京) (C)JRLO

後半開始早々、花園Lがモールからのピック&ゴーで反撃の狼煙を上げると、52分にBL東京はモールで前進し再び原田がインゴールにボールを運んだ。すると65・68分と花園Lがスピーディな連続攻撃を披露して連続トライをマーク、69分クーパーのGも決まり31-32とついに逆転される。後半に入ってスクラムを押される嫌な展開ながら、地力で勝るBL東京は慌てず騒がず。74分WTB濱田将暉が逆転トライを決めると、77分にはモウンガのロングパスを受けたWTB松延泰樹がインゴールに飛び込んだ。80分モウンガのカットパスに濱田が抜け出してノーサイド。ヒヤリとしながら、きっちりボーナスポイントを獲得した。

苦戦を強いられたが、トッド・ブラックアダーHCは「強度の部分で我々に足りないものがあり、相手がプレッシャーをかけてきたが、選手たちはしっかりと自分たちのシステムを最後まで信じて遂行し、結果的にボーナスポイントも取ってくれたことを誇りに思う。学びもいくつかあったが、勝利できてうれしい。キープレーヤーを欠いた状態だが、ほかの選手がプレーの機会を得て、リーダーシップを発揮することは今後に向けてのいいチャンス。チーム全体のリーダーシップやレジリエンスが試されているので、まったくネガティブに捉えていない」と前を向いた。

トッド・ブラックアダーHC(東芝ブレイブルーパス東京) (C)東芝ブレイブルーパス東京

バイスキャプテンの原田も「ここ数年、自分たちよりも下位のチームに負けている試合も少なくなかったので、試合への持っていき方が良くなかったのかもしれない。もう一度レビューした上で、もっとハングリーにならないといけないのかもしれない」と反省を口にしつつ、「ラインアウトモールなどで相手にプレッシャーをかけていたので、立て直すことができた。モールで前進できることが僕らの立ち返るところ。FWのラインアウトなどセットピースのおかげで、ボーナスポイントまで取ることができた」と前向きなコメントを残した。

原田衛(東芝ブレイブルーパス東京) (C)JRLO

残り10分でさすがのプレーを見せ付けたモウンガは「時間もしっかりあると思っていたし、正しいエリアでプレーすればスコアできることはわかっていたので、特に焦りはなかった。敵陣に入って自分たちのやるべきことをやることだけだった」と余裕を感じさせた。

これまでの戦績、前節のパフォーマンスを見て、埼玉WK有利と決め付けるのは早計。これまでの戦いぶりが次戦に直結しないのが、ラグビーの奥が深いところ。両軍の試合登録メンバーは以下の通り。

【埼玉WK】
1クレイグ・ミラー、2坂手淳史、3藤井大喜、4リアム・ミッチェル、5ルード・デヤハー、6長谷川崚太、7ラクラン・ボーシェー、8ジャック・コーネルセン、9小山大輝、10松田力也、11丹治辰碩、12ダミアン・デアレンデ、13ディラン・ライリー、14長田智希、15山沢京平、16堀江翔太、17ダニエル・ペレズ、18ヴァル アサエリ愛、19マーク・アボット、20大西樹、21内田啓介、22ヴィンス・アソ、23マリカ・コロインベテ

【BL東京】
1眞壁照男、2原田衛、3小鍜治悠太、4ワーナー・ディアンズ、5アニセ サムエラ、6伊藤鐘平、7徳永祥尭、8シャノン・フリゼル、9杉山優平、10リッチー・モウンガ、11森勇登、12マイケル・コリンズ、13セタ・タマニバル、14桑山淳生、15松永拓朗、16橋本大吾、17三上正貴、18タウファ・ラトゥ、19山本浩輝、20アサエリ・ラウシー、21高橋昴平、22眞野泰地、23松延泰樹

果たして、全勝を守るのは埼玉WKか、BL東京か。『NTTリーグワン2023-24』第9節・埼玉WK×BL東京は3月9日(土)・熊谷スポーツ文化公園 ラグビー場にてキックオフ。チケットはチケットラグビーにて発売中。試合の模様はBS日テレにて生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24の特設ページ
https://t.pia.jp/pia/events/rugby-leagueone/

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