ヴィム・ヴェンダース監督作『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』公開決定

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ヴィム・ヴェンダース監督の『Anselm』(原題)が『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』の邦題で6月21日(金)に公開されることが決定し、日本版ポスタービジュアルと場面写真2点が解禁された。

本作は、戦後ドイツを代表する芸術家であり、ドイツの暗黒の歴史を主題とした作品群で知られるアンゼルム・キーファーの生涯と、その現在を追ったドキュメンタリー。第76回カンヌ国際映画祭で役所広司が主演俳優賞を受賞、第96回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされたことも記憶に新しい『PERFECT DAYS』のヴィム・ヴェンダースが監督を務める。『パリ、テキサス』、『ベルリン・天使の詩』などの劇映画だけでなく、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』、『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』などドキュメンタリーも手掛け、世界各国から高い評価を受けている。

アンゼルム・キーファーは、ナチスや戦争、神話などのテーマを、絵画、彫刻、建築など多彩な表現で壮大な世界を創造する戦後ドイツを代表する芸術家で、1991年には高松宮殿下記念世界文化賞・絵画部門を受賞。ヴェンダース監督と同じ1945年生まれであり、初期の作品の中には、戦後ナチスの暗い歴史に目を背けようとする世論に反し、ナチス式の敬礼を揶揄する作品を作るなど“タブー”に挑戦する作家として美術界の反発を生みながらも注目を浴びる存在となった。

1971年からはフランスに拠点を移し、わらや生地を用いて、歴史、哲学、詩、聖書の世界を創作している。彼の作品に一貫しているのは戦後ドイツ、そして死に向き合ってきたことであり、“傷ついたもの”への鎮魂を捧げ続けている。

ヴェンダース監督は映画の制作期間に2年の歳月を費やし、3D&6Kで撮影。「先入観を捨てて、この衝撃的なビジュアルをただ楽しんでもらいたい」と監督が語るように、従来の3D映画のような飛び出すような仕掛けではなく、絵画や建築を立体的で目の前に存在するかのような奥行きのある映像で再現し、ドキュメンタリー作品において新しい可能性を追求した。

キャストには、アンゼルム・キーファー本人のほか、自身の青年期を息子のダニエル・キーファーが演じ、幼少期をヴェンダース監督の息子、アントン・ヴェンダースが務めている。本作は『PERFECT DAYS』が出品された第76回カンヌ国際映画祭で、ヴィム・ヴェンダース監督作品として2作同時にプレミア上映されたほか、昨年の第36回東京国際映画祭でも上映された。

今回解禁となった日本版ポスタービジュアルは、作品のひとつである巨大な塔の中に佇むアンゼルム・キーファーの後ろ姿を映し出したもの。中央のキャッチコピー「圧倒的な没入感」とある通り、目の前に巨大で立体的な芸術品が迫りくるような迫力ある3D映像に期待が高まる。併せて解禁となった場面写真は、アンゼルムの手掛けた作品の一部を捉えたものとなっている。

また、2025年3月下旬から6月下旬まで、世界遺産・二条城でアンゼルム・キーファーの大規模個展が開催されることも決定している。

『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』
6/21(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開
公式サイト

監督:ヴィム・ヴェンダース
エグゼクティブプロデューサー:ジェレミー・トーマス
撮影:フランツ・ルスティグ
ステレオグラファー:セバスチャンクレイマー
編集:マクシーン・ゲディケ
作曲:レオナルド・キュスナー
出演:アンゼルム・キーファー/ダニエル・キーファー/アントン・ヴェンダース
2023年/ドイツ/93分/1.50:1/ドイツ語・英語
原題:Anselm
カラー・B&W/5.1ch/3D&2D
字幕:吉川美奈子
配給:アンプラグド

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