日本の「雪だるま」はなぜ2段?ルーツや西洋の「スノーマン」との違いとは

日本の雪だるまをよく見ると、2段でつくられていることが多いですよね。しかし、海外の「Snowman(スノーマン)」は、通常3段でつくられています。では、なぜ日本の「雪だるま」と海外の「Snowman」にこのような違いがあるのでしょうか? 今回は、雪だるまのルーツのほか、なぜ2段なのかに迫ります。

「雪だるま」のルーツとは?最初から2段だった?

子どもの頃から「雪だるま」と聞くと、パッと思い浮かぶのは、2段の雪だるまではないでしょうか。日本で最初に雪だるまをつくった人や場所は不明ですが、江戸時代後期には、すでに雪だるまがつくられていたことがわかっています。

目に涼しくてちょっとおかしな作品をご紹介。目を引くのは、文字通りだるまの形をした雪だるま。浮世絵にはこの形で時々登場します。鼻緒が切れた男性がフグとネギを雪だるまに置いたところ、犬がこれをこっそり狙っています。太田記念美術館「江戸の天気」後期(7/30-8/29)にて展示いたします。 pic.twitter.com/EX4Nnvs0kP

— 太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (@ukiyoeota) July 9, 2021

なぜなら、浮世絵師として名高い歌川広景の作品『江戸名所道戯尽 廿二 御蔵前の雪』に描かれているからです。そのほかにも、葛飾北斎が手がけた絵本『狂歌画譜 藐姑射山』などにも同様の雪だるまが描かれています。

しかし、この雪だるまは現代のものとは異なり「だるま」にそっくりですね。

だるま(達磨大師)とは、インド出身の禅宗の始祖です。そんな達磨大師の座禅の姿を真似て張子でつくられているのが、縁起物として人気の「だるま」です。だるまには、商売繁盛、開運出世のご利益があるといわれ、最初に片目だけ描き、願いごとの叶った際に、もう一方の目を描く習慣があります。

また、江戸時代のだるまは巨大! 江戸時代の人の背丈よりも大きいです。さらに歌川広景の作品のほうには、お腹の盛り上がったところに、お供え!? の魚が置かれていたり、葛飾北斎の絵本のほうには、髭が描かれていたりしてユニークです。おそらく当時は、縁起物としてつくられていたのでしょう。

とはいえ、この頃からすでに2段の雪だるまがつくられていたことは間違いなさそうですね。

明治時代以降、どのような経緯をへて、現在のシンプルな2段の雪だるまに進化したのかは謎ですが、小さな子どもでもつくりやすいのが、雪だるまの魅力のひとつといえます。

海外の「Snowman」は3段が基本!

海外とりわけ西洋の「Snowman」は3段が基本です。大ヒット映画『アナと雪の女王』に登場するキャラクター「オラフ」も3段ですよね。なんと、西洋でも中世から「Snowman」がつくられていたことがわかっています。どうやらアートとしてつくられ始め、時に宗教的人物や、政治的人物を模ってつくられることもあったようです。

このように、人(立っている)をモデルにしてつくられることが多かったため、西洋のSnowmanは3段なのかもしれません。

しかし、日本の雪だるまも、西洋のSnowmanも時代が経つにつれてシンプルなデザインになっているのが面白い点ですね。

[参考]

太田記念美術館|江戸時代の雪だるまは「だるま」だったというお話

tenki.jp|「日本の雪だるま」と「西洋のsnowman」。カタチが違うのはなぜ?

FOX WEATHER|Before ‘Frosty’: The origin story of the modern snowman

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