「年金の還付ある」一方で定期預金額も聞かれていた… スマホ手にATM操作の女性にピン 郵便局長に感謝状

特殊詐欺被害を防ぎ、深木孝夫署長から感謝状を受ける戸出正俊さん(右)=南但馬署

 特殊詐欺の被害を防いだとして、南但馬署は2月27日、養父郵便局(兵庫県養父市養父市場)の戸出正俊局長(59)に署長感謝状を贈った。同市の70歳代女性がスマートフォンで通話しながらATMを操作していたのを見かけ、思いとどまらせたという。

 同署によると、1月25日に女性宅の電話に連絡があり、「年金の還付があるため、通話しながらATMを操作して」と指示されたという。女性はスマホを手にATMを操作しており、不審に思った戸田局長が声をかけた。話を聞くと「年金の還付金がある」との説明の一方、「定期預金がいくらあるか」も聞かれていた。電話による指示は送金の手続きで、戸田局長は「詐欺だ」と確信したという。

 そのころ、郵便局近くにある南但馬署養父駐在所駐在員で巡査部長の名倉秀行さん(40)が姿を見せた。休みだったが、駐在所の外に出た際、ATMコーナーに入る女性を見て、追いかけてきており、2人で話を聞き、説得したという。

 同署には、今年に入って2月16日までに還付金の電話に関する相談が6件入っており、既に昨年1年間の8件に迫る勢い。名倉さんは「特殊詐欺が疑われる電話の相談があった場合、周囲の金融機関に注意を呼びかけている。今回も防げてよかった」と話す。

 一方、戸出局長も「普段から電話しながらのATM操作には注意しており、地域の方のお役に立てた」と喜んでいた。(小日向務)

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