【起源は騎士の訓練にあり】メリーゴーラウンドの秘密

あなたは遊園地に行ったら何に乗りたいですか?
絶叫マシンでスリルを味わうのも楽しいですが、叫び疲れてきた頃、のんびりと回るメリーゴーラウンドでほっと一息つくのもいいですよね。

この記事では、メリーゴーラウンドの起源や歴史など、その秘密についてご説明します。

メリーゴーラウンドとカルーセル、どう違うの?

メリーゴーラウンドはカルーセルと呼ばれることもありますが、違いはあるのでしょうか。

答えはどちらも同じ、違いはありません。両方とも同じ回転木馬を指し、国によって呼び方が異なります。

英語では一般的に「merry-go-round」といいますが、アメリカでは「carousel」、イギリスでは「roundabout」と呼ぶこともあるそうです。

フランス語では「carrousel」または「manège」といいます。manègeとは丸馬場のことだそうですよ。

メリーゴーラウンドの歴史

起源

時は12世紀、十字軍の時代。
ビザンチン帝国やアラブからヨーロッパに馬上で行うゲームが伝わります。
騎士たちが馬で円状に疾走し、お互いにボールを投げ合うもので、騎乗技術や戦闘能力の訓練をしました。
このゲームや十字軍が戦闘前に行う準備運動のことを、イタリア語やスペイン語では「carosella」といったそうです。

やがて騎士はボールを投げるかわりに、馬で走りながら小さな輪を槍で突くようになります。
これはそれまで行われていた馬上槍試合にとって代わって人気の見せ物となり、特にフランスとイタリアで人気がありました。
17世紀にはパリに初期のメリーゴーラウンドが設置され、子供たちが木馬に跨り、自分も騎士になった気分で小さな輪を棒で引っ掛けて楽しむようになります。

17世紀の騎馬パレード

17世紀のベルギーやフランスでは、特別なお祝いの時に騎士や貴族が馬に乗って宮殿の中庭を周回するパレードを開催。馬術のデモンストレーションも行われ、これをカルーセルと呼びました。

最も有名なカルーセルは、1662年にルイ14世が息子の誕生を祝うため、パリのチュイルリー宮殿の中庭で開催したもの。
この中庭だった広場は現在もPlace du Carrousel(カルーゼル広場)と呼ばれ、チュイルリー公園とルーブル美術館の間にあります。

人力から蒸気機関の動力へ

18世紀初頭までにメリーゴーラウンドはヨーロッパに広まり、移動遊園地などに設営されるようになりました。
この頃はまだプラットフォームがなく、動物の形をした座席は鎖にぶら下がった状態。装置は人や馬などの力で回されていました。

19世紀にはプラットフォームのあるメリーゴーラウンドが開発され、動物などの形をした座席は円形の床に固定されるようになりました。

19世紀半ば、初めて蒸気機関を動力とする機械式のメリーゴーラウンドがイギリスで発明され、見本市などで人気を集めます。
その後、座席が上下運動するものが開発され、作動するときにオルガンが奏でられるものもできました。

回転方向

イギリスのメリーゴーラウンドは時計回り。外から見ると馬の頭が左を向いています。
イギリス以外のヨーロッパ諸国やアメリカでは反時計回り、馬の頭は右向き。

車もイギリスでは左側通行、ヨーロッパ諸国やアメリカでは右側通行となっていますが、それも関係しているのでしょうか。

日本のメリーゴーランド

としまえんの「カルーセルエルドラド」

2020年に惜しまれながら閉園したとしまえん。
こちらには現存するものの中では世界的にも古い「カルーセルエルドラド」がありました。

1907年にドイツで作られ、ヨーロッパ各地を移動遊園地として巡った後、1911年にアメリカのコニーアイランドへ。
およそ60年、ルーズベルト大統領などの著名人を含むたくさんの人々を楽しませ、1969年に日本へ。
その後2年かけてメンテナンスを行い、1971年からとしまえんで稼働を開始。
2010年には日本機械学会の機械遺産に認定されました。

現在は大切に保管されているようですが、ぜひ、再びどこかで乗れる日が来ると良いですね。

萌木の村の「カルーセル・ドリーム」

山梨県北杜市、清里高原にある「萌木の村」。ホテルやレストラン、おしゃれなショップが並ぶ観光施設の敷地内、広場の小高い丘の上に「カルーセル・ドリーム」があります。
アメリカ製で、ネイティブアメリカンが描かれた馬や、鹿、猫、シマウマなど、様々な動物たちも。

アーティストのPV撮影にもたびたび使用されているので、見覚えがある方もいらっしゃるかもしれません。

すぐ隣の「メリーゴーラウンドカフェ」では、カルーセル・ドリームから聞こえる音楽や森の風景を楽しみながら、お料理やお茶を楽しむことができます。

乗馬スポットもたくさんある北杜市。外乗などを楽しんだ後、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

参考情報萌木の村 公式サイト
メリーゴーラウンドカフェ 公式サイト ## まとめ

明るい太陽の下で乗るのも楽しいですが、日が暮れてきた頃、ライトアップされたメリーゴーラウンドは幻想的。手回しオルゴールのような少し切ない音楽を聴きながら、いつまでも見ていたくなってしまうかもしれませんね。

子供の頃、たくさんいる木馬の中からお気に入りの1頭を見つけ、駆け寄った記憶がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
次の休日、メリーゴーラウンドに乗りに出かけてみませんか?

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