【震災・原発事故13年 復興を問う】福島県外処分「国の責務」 岸田文雄首相 除染土の再生利用推進

震災と原発事故発生から13年を前に、考えを述べる岸田首相(代表撮影)

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生から13年となるのを前に、岸田文雄首相は7日、福島民報社など被災3県の新聞社の合同インタビューに口頭と書面で答えた。原発事故に伴う除染で出た土壌の2045年までの福島県外最終処分方針について「国としての約束であり、国の責務だ」と明言した。(聞き手・取締役編集局長 安斎康史)

 ―除染土壌の県外最終処分期限まであと21年しかない。再生利用や最終処分場候補地の選定などをどのように進めるのか。

 「福島県内で生じた除去土壌などの30年以内の県外最終処分という方針は国としての約束であり、法律にも規定された国の責務だ。実現には最終処分量の低減が重要で、除去土壌の再生利用などが必要だ。これまでに得られた知見を踏まえ、必要な基準類を2024(令和6)年度中に取りまとめる。最終処分・再生利用について、2025年度以降の進め方を示すことも必要であり、その促進の在り方も含めて今後検討を進める。国民的な理解醸成も重要で、県外最終処分などの必要性や安全性について、次世代などへの情報発信をさらに強化していく」

 ―政府は2025年度で終了する第2期復興・創生期間の後の復興財源に関する方針を示していない。内堀雅雄知事や被災自治体なども第2期後の十分な財源と制度を確保するよう求めている。

 「『第2期復興・創生期間』の後の復興の在り方は2025年度中に、その段階での復興の状況を踏まえて事業規模を示すことも含め必要な対応を行う。復興事業の進捗(しんちょく)状況などを踏まえ、関係者と意見交換し、最終的な方針決定を待つことなく一定の方向性を示すことも視野に入れながら検討を進める。必要な復興事業について息の長い取り組みを支援できるよう、確実に復興に要する財源を確保する」

 ―首都直下型や南海トラフなどを震源とする巨大地震の発生が予想されている中で、防災体制の強化から復旧、復興期までの指揮、予算管理を一元的に担う組織創設の必要性についての考えを問う。

 「わが国の防災体制をいかに充実・強化していくかという視点の議論で重要だ。気候変動などさまざまな条件の中で、わが国の災害のありようも変化している。その変化にも対応すべく、どのような組織体制が求められるのか不断に見直す姿勢は大事だ」

 ―震災の教訓を生かしながら能登半島地震の被災地を支援する自治体に対する国としての支援の考えは。

 「今後、復旧から復興フェーズへと徐々に移っていく。高齢化率が高い過疎地での災害という点で、東日本大震災での教訓、知見が活用できると考えている。自治体間連携のための職員の中長期派遣についても地方財政措置で支援する」

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