台風13号の豪雨災害から半年 他に移り住む人も 再来懸念「対策早急に」地域の活力喪失に危機感 福島県いわき市

自宅を解体した板井さん。地域を離れても地区の民生・児童委員は続けていく

 昨年9月の台風13号による豪雨災害の発生から8日で半年となる。浸水被害が集中した、福島県いわき市内郷地区などでは被災住宅の改修が進む一方、再建費用の負担や再びの水害への懸念から地区を離れる人もいる。住民はコミュニティーの維持が難しくなると懸念し、県や市に対し「河川改修などの対策を早急に進めてほしい」と訴える。

 市によると、5日時点で、被災住宅の修理費用の一部を市が負担する応急修理制度に申し込んだ417人のうち約7割の295人が完了した。家屋解体の申請は2月末時点で40件あり、増える見通しだという。

 内郷宮町では、解体が決まった空き家や解体後の空き地が目立ってきた。宮1区の国井信一区長(75)によると、74世帯のうち13世帯が自宅を解体するなどして他地区に移り住むことを決めた。住宅再建の負担の大きさや、再び水害に遭うのではとの不安が背景にあるという。住民が減ると自治会の担い手が減り、地域の活力が失われると危機感を募らせる。国井区長は「5年前の台風19号でも被害を受けた。3度目の水害が起きないようにしてほしい」と訴える。

 地区内に住んでいた板井なみえさん(68)は築50年超の自宅が床上浸水して半壊と認定され、先月解体した。現在は亡くなった姉が住んでいた茨城県北茨城市の家で生活し、内郷地区に通いながら民生・児童委員を続けている。「古い家を改修するには金銭的な負担が重かった」と苦しい胸の内を明かす。

 県や市は水害の検証と対策の検討を進めている。氾濫した宮川、新川については管理する県が5月にも対策をまとめる予定だ。市災害対策課の担当者は「住民の声を聞き、地域ごとの課題に対応した解決策を探っていく」と話した。

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