「ガンジー像」計画と寄贈趣旨が異なるため平和公園の設置を見送り 設置場所を再考

ガンジー像を設置するため長崎市が整地した中島川沿いの一画。市民の反発を受けて、設置場所を再検討する=同市栄町

 長崎市はインドから寄贈されるマハトマ・ガンジーの胸像(高さ2メートル超)を巡り、7日の市議会教育厚生委員会で、当初インド側が希望した平和公園(松山町)での設置を見送った理由を説明した。市が事前に定めていたモニュメントの受け入れ計画と、今回の寄贈趣旨が異なっていたため。代替地の中島川沿いは異論が相次ぎ、市は設置場所を再考するが、現状で平和公園内は難しいとみられる。
 一方、市幹部が複数の市議に理由を説明した際、インドが核保有国であることを挙げたと判明している。鈴木史朗市長は本紙報道後の2月末、自身のX(旧ツイッター)で「市幹部から誤解を招く説明を行った」と認めて陳謝。市は7日の教育厚生委で、あらためて「核保有国だから(平和公園に)受け入れないということではない」とした。
 平和公園内には世界各国・都市から贈られた平和モニュメント16基がある。市原爆被爆対策部によると、これらは「世界平和シンボルゾーン」建設計画(1977年策定)の趣旨に賛同する国・都市から、「世界の平和と人類愛を象徴するモニュメント」として寄贈されてきた。
 一方でガンジー像は、インド側が国連や広島と併せて長崎にも寄贈する意向を示したもので、シンボルゾーン建設計画の「目的や趣旨と元々違う」(同部)。個人の像の設置を具体的に禁じる規定はないが、「個人の顕彰につながる可能性」や、今まで抽象的モチーフの像を受け入れてきた経過も加味し、平和公園でのガンジー像設置を見送ったという。
 設置場所の再検討に向けて、市は「市、市民、インドのそれぞれにとって、より良い場所に設置できるよう進めたい」としている。

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