官民連携でGREEN×EXPO2027や江戸街道プロジェクトなど推進 関東運輸局・関東地方整備局、第8回観光ビジョン推進関東ブロック戦略会議を開催

関東運輸局と関東地方整備局は3月4日、第8回観光ビジョン推進関東ブロック戦略会議を横浜第二合同庁舎(横浜市中区)で開いた。観光地域づくり・二次交通・観光資源魅力向上の3つのワーキンググループ(WG)の取り組みを報告・承認するほか、今後の「GREEN×EXPO2027」(2027年国際園芸博覧会、横浜市旭区)や、関東運輸局が「江戸街道」を統一テーマに推進する「江戸街道プロジェクト」の取り組みを発表した。関東運輸局の勝山潔局長は「インバウンドを含む観光需要は急激に回復している。一方で今後は受け皿となる人手不足といった課題も同時に考えて対処していかなければならない」と述べ、官民連携での取り組みの重要性を強調した。

関東運輸局の勝山潔局長

同会議は、「明日の日本を支える観光ビジョン」掲載施策の具体的な取り組みを図るべく、各構成メンバーの取り組みに関する情報共有および幅広い関係省庁や多数の関係者との連絡・調整を目的として設置したもの。 今回の会議では、WGの取り組み状況や、2023年度各課題への構成員の取り組み状況、今後の取り組みなどが話し合われた。

WGは、①観光地域づくり②二次交通③観光資源魅力向上―の3つで構成されている。報告では、「観光振興事業」「ポストコロナを見据えた受入環境整備推進事業」で実施された取り組みなどが共有された。

構成員の取り組み状況については、幾つかの事例を国の機関が報告した。

関東運輸局は、①「アプリを活用した街道観光への誘客・周瑜促進に関する実証事業」②「『伝説や逸話をコンテンツとした地域誘客促進企画』調査業務」③「街道観光プラットフォーム(仮称)構築による街道観光振興への効果検証事業」―の3つを報告。

アプリを活用した街道観光への誘客・周瑜促進に関する実証事業では、街道沿いの観光情報などを組み込んだ街歩きアプリを導入し、訪日外国人および国内旅行者の誘客と周遊促進に対するアプリ活用の効果および課題の検証が行われた。プロモーションの実施で一定数のダウンロード需要が確認され、今後は実証で得られた効果と課題を整理しながら、次年度以降に各地で導入を進めるに当たってのノウハウのとりまとめなどを行う。

「伝説や逸話をコンテンツとした地域誘客促進企画」調査業務では各地域に伝わる伝説や逸話を使ったインバウンド向けツアーを実施することで効果を検証。回向院(東京・両国)で行われた「本所七不思議」英語講談会には2日間で計27人の外国人モニターが参加し、満足度は97%だった。今後は、他地域での横展開に向けた地域での自走での開催の可能性やターゲット設定などの課題の整理を行う。

街道観光プラットフォーム(仮称)構築による街道観光振興への効果検証事業では、地域の観光コンテンツを集約し、情報を一元提供できるプラットフォームを構築・運営するほか、インバウンドおよび国内旅行者の誘客と周遊促進に対する有効性を検証。テスト・ポータルサイトは2024年1月中旬から公開され(3月下旬まで公開)、大に観光関係者を中心にアクセスや事業参画の問い合わせがあった。今後は、関係者とプラットフォームの有効性の共有などが行われる。

このほか、関東地方整備局が「国営公園におけるWi-Fi環境の整備、園内表示等の多言語化に係る取組の成果」(5公園で整備)、「治水施策を見学するための受け入れ体制の整備に係る取組の成果」(約4万8000人が参加)、「国際クルーズ旅客受入機能高度化およびクルーズの安全な運航再開を通じた地域活性化に係る取組の成果」(クルーズ旅客の利便性・安全性の向上支援など)を、東京管区気象台が「多言語による気象情報の提供に関する取組」(防災気象情報を多言語で外国人旅行者に提供)を、関東総合通信局が「多言語翻訳システムの社会実装推進への取組」(情報通信研究機構が開発する多言語温泉翻訳アプリの活用)などを発表した。

第8回観光ビジョン推進関東ブロック戦略会議の様子

今後の取り組みについては、 2027年国際園芸博覧会協会が「GREEN×EXPO2027」(2027年国際園芸博覧会)を、関東運輸局観光部が「江戸街道プロジェクト」の次年度の展開を発表した。

国際園芸博覧会は、国際的な園芸・造園の振興や花と緑のあふれる暮らし、地域・経済の創造などを目的に開かれる博覧会で、国際園芸家協会の承認を得て行われている。GREEN×EXPO2027の博覧会種別は最上位のA1クラスで、2027年3月19日~9月26日に神奈川県横浜市の旧上瀬谷通信施設で開かれ、約1500万人の来場、70の国・国際機関の出展が見込まれている。テーマは、「幸せを創る明日の風景」で、会場内には①国際出展ゾーン②シンボルゾーン③日本ゾーンーの3つのゾーンのほか、展示・体験プログラムなどを複合させた共創事業として5つの「Village」(Urban GX Village、Farm&Food Village、Craft Village、Kids Village、SATOYAMA VIllage)が設けられる。今後は公式マスコットの発表などが予定されている。

江戸街道プロジェクトは、広域関東(1都10県)の魅力を「江戸街道」という統一テーマでブランディングし、街道観光の推進を通して地域を活性化する取り組みで、関東運輸局が2022年度から主導している。今後は、①「地域連携による大型BtoCイベント」の実施②「江戸料理」を活用した事業の実施③「分散型宿泊(アルベルゴ・ディフーゾ)」による地域活性化の取り組み④「街道観光プラットフォーム(仮称)」の本格運用による地域が連携した街道観光情報の一元的な提供⑤「地域観光新発見事業(2023年補正予算)」を活用した街道観光の推進に資する事業への支援・協力―などに取り組む予定。

意見交換では、GREEN×EXPO2027を契機とした関東が一体となった取り組みの推進や、二次交通の充実化に向けた連携の必要性などの意見が出た。

関東地方整備局の藤巻浩之局長は「観光は、資源が乏しいわが国にとっては大きなキラーコンテンツである。稼ぐための観光は、経済を安定させるためにも重要だ。これまで以上に官民連携の取り組みを推進していきたい」と話した。

関東地方整備局の藤巻浩之局長

参加団体などは次の通り。

【国】関東運輸局、関東地方整備局、東京航空局、東京管区気象台、関東総合通信局、関東農政局、関東経済産業局、関東地方環境事務所

【団体】関東商工会議所連合会、国際観光振興機構など▽<観光>日本観光振興協会関東支部、日本旅行業協会関東支部など▽<交通>東京バス協会など

【自治体】茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市

【事業者】東日本旅客鉄道、東京国際空港ターミナルなど

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