ママ友の娘さんがオーディションをたくさん受けています。小学生で子役なんて児童労働にあたりませんか?

児童労働は条件付きで認められている

満18歳までの児童は、原則として労働できません。しかし、満13歳以上であれば、児童の健康および福祉に無害であり労働が軽易なものであれば、就学時間以外なら労働基準監督署長の許可を得て就労できます。一例を挙げると、高校生の放課後のアルバイトや、特別な許可を得た中学生の新聞配達などが該当します。

一方、満13歳未満の場合は演劇子役としてならば、就学時間以外の就労が可能です。就学に差し支えない範囲であることを学校長などに証明してもらい、親の同意書とともに労働基準監督署に提出し、監督署長の許可を得なければなりません。

さらに15歳以下の子どもの場合、就学時間と労働時間(稽古や衣装替えを含む)が1週間に40時間、1日7時間までと労働基準法60条で定められています。

児童を労働させる際の注意点

児童は成人と同じ条件で働けません。特に、満13歳未満の子どもを子役として使用する場合、厳しいルールが科せられています。子どもを子役として使用したい場合や、自分の子どもが子役として働く場合は、労働時間のルールをよく理解しておきましょう。

ルールを守れなかった場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるケースもあります。

原則として時間外労働と休日労働はできない

18歳未満の児童は、原則として時間外労働や休日労働はできません。義務教育を終えた者であっても、18歳未満は変形労働時間制やフレックスタイム制などは利用できないと考えましょう。

18歳未満が働けるのは、法定労働時間として定められた週40時間、1日当たり8時間までです。さらに、15歳までは1週間に40時間、1日7時間までしか働けません。この労働時間には、演劇などの稽古の時間も含まれるので注意が必要です。

深夜業務には制限がある

18歳未満の児童は、深夜業務にも制限があります。深夜業務とは22時~5時までの業務を指しますが、義務教育までの児童は20時~5時までが深夜業です。原則として20時以降は使用できません。

しかし、子役の場合は撮影が20時以降になることもあるでしょう。その場合は「厚生労働大臣が認める場合」「地域または期間を限る」と条件をつけて、21時~6時を深夜業とみなせます。したがって、演劇などで子役を使う場合、開幕時間等にも注意が必要です。

必要ならば社会保険などの加入も必要

義務教育期間中であっても、労働者として働く場合は労災保険への加入が必要です。また、継続して31日以上の雇用が見込まれる場合や、1週間の所定労働時間が20時間以上、学生でないなどの条件を満たすと、雇用保険に加入する必要があります。

例えば、小学校就学未満の子どもが子役として映画に出演し、雇用期間や所定労働時間を満たした場合は、雇用保険への加入が必要になります。

また、社会保険も同様に条件を満たせば加入が必要です。なお、雇用保険と社会保険は学生は加入する必要はありません。しかし、休学、定時制・夜間に通っている場合など例外もあります。なお、未就学児は学生ではありません。

子役で社会保険の加入が必要な事例になる場合は少ないものの、必要になるケースもあると覚えておきましょう。

条件を満たせば児童でも働くことは可能

18歳未満の児童は、原則として就労できません。しかし、満13歳以上ならば一定の条件を満たせば就労が可能です。満13歳未満は演劇や映画、ドラマの子役としてならば条件付きで就業ができます。

ただし、大人と同じような働き方はできません。子どもが子役になった場合や、高校生でアルバイトをする場合は、児童が労働をする場合の条件をよく確認したうえで働きましょう。

出典

e-gov法令検索 年少者労働基準規則

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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