「消せない『私』-復讐の連鎖-」で倫理観ゼロの迷惑系配信者を演じる柄本時生にインタビュー「楽しく、覚悟して見てもらえたら」

志田彩良さんが復讐(ふくしゅう)に燃える主人公・灰原硝子を体当たりで演じている金曜ドラマDEEP「消せない『私』-復讐の連鎖-」(日本テレビほか)。今夜3月8日放送の第10話では、硝子の復讐がさらなる復讐を呼ぶ最終章に突入する。

先週放送の第9話では、硝子の協力者・ソラ(阿佐辰美)が3人目の復讐相手である青嶋みちる(小日向ゆか)に襲われて命を落とし、錯乱したみちる自身もトラックにひかれて死亡するという、まさに“復讐の連鎖”ともいえる最悪の結末を迎えた。さらに、硝子は両親の実子ではなく、養子だったことが発覚。畳みかけるような衝撃的な事実の数々に、SNSでは「2人とも死んじゃうなんて」「硝子が養子!?」「謎が深まるばかりで先々の展開が読めない」などの声が上がるほど視聴者を驚愕(きょうがく)させた。

物語が佳境に差し掛かり、すでに壮絶な様相を呈している最終章の鍵を握るのは、柄本時生さんが演じる倫理観が欠如している迷惑系配信者・綿貫健。硝子が復讐するきっかけとなる10年前の暴行事件で、硝子を執拗(しつよう)に追いかけるなど過激な投稿で炎上を繰り返す綿貫だが、時を経て、再び硝子の前に現れることに…。

第1話での登場はワンシーンだけなのにもかかわらず、視聴者に不気味な印象を深く植え付けた綿貫。キャスト発表時に「うんと嫌なやつを演じたい」とコメントしていた柄本さんに、“嫌なやつ”を演じる方法や最終章の見どころなどを語ってもらった。

――まず、綿貫という役どころについて、脚本を読まれてどのように感じましたか?

「とりあえず嫌なやつだなって(笑)。綿貫をどのぐらい嫌なやつに演じようかと考えました。あとは、セリフが多くて覚えるのが大変だなと思いましたね。その上でどう演じていくかは、実際にやってみないと分からないので…。話の流れや言いたいことは台本に書いているので、あとはセリフが覚えられればどうにか演じられるかなと思っています」

――第1話で少しだけ出演された際、すでに物語をかき乱すキャラクターになるんだろうなと感じました。

「最初は概要だけ聞いていて、台本は後々いただく流れだったので、奥行き的なことは何も知らなくて。後半の台本を読んだ時は衝撃的でした」

――キャストが発表された時には「うんと嫌なやつを演じたい」とコメントされていましたが、その“うんと嫌なやつ”感を出すために、演じる上で意識する点などはあるのでしょうか?

「嫌なやつを演じることは俳優にとっては意外と簡単で、とにかく相手が嫌がることをやる。これはたぶん、本番中にやられたら嫌だろうなと思うことを実際にすればいいんです。面白いところですが、役柄で考えるというよりも、その人を怒らせるためにどうしようかなって考えた方が楽なんですよね。俳優同士なので『これはやっちゃいけないよね』『この邪魔をしたら嫌だろうな』ということは分かるじゃないですか。それをわざとやると、うんと嫌なやつに見えるという。なので、志田さんと撮影する時にも、そういうものを探すようになるんじゃないのかなと思います」

――それを受けた側も「嫌だな」という表情になりますよね。

「そうですね。役作りでいうと、伝えたいことはすでにセリフにすべて書いてあるので、その存在があるだけでわれわれは助かるんです」

――終盤の展開では、物語の鍵を握るキャラクターとして登場します。最終章の見どころをお伺いできますでしょうか?

「もう佳境ですよね。作品を通して言いたかったことや伝えたいこと、これまで一話一話少しずつ、ずっと伝え続けてきたメッセージを集約したことが硝子の口から聞けると思います。綿貫について言うと、僕は綿貫という人間は、きっと今の世間さまが作った“何か”なのかなと思っているので、見ていただいて不快に思っていただいたり、共感していただいたり、どう捉えていただいてもいいなと思っていて。ただ楽しく、そして覚悟して見ていただけたらなと思っております。あとは、最後に志田ちゃんとがっつり絡みます!っていうところが楽しみなポイントですね」

――では、ご自身は本作からどのようなメッセージを受け取られましたか?

「テーマが現代にすごくマッチしている作品だと思いますし、伝えたいことはすごく簡単で『考えようよ』ということなのかなと。僕はそこだけでも伝わればいいのかなと思っています」

――その「考えようよ」というのは、例えば見る側も、発信する側も?

「そうですね。僕はネットリテラシーという言葉は詳しく知らないのですが、ルールというのは全部一緒なんだろうなと思うんです。ネットも現実も結局は一緒で、あまり変わらない。なので、そういうところも含めて『考えようよ』ということだと思います」

3月8日放送・第10話

復讐を終えた硝子は、徳道仁(本郷奏多)と別れた後、どこか遠くで暮らそうと決心し、パスポートの手続きをするために役所を訪れる。戸籍謄本を見て自分が養子だと知った硝子は、自分自身が何者か分からなくなってしまう。そんな中、10年前の硝子への暴行動画が再びネット上に流出。瞬く間に拡散される動画を見て、過去に一気に引き戻され恐怖に震える硝子の前に、ある人物が現れる。同じ頃、砂川より子(片山友希)は動画を投稿したのは海崎藍里(吉本実憂)に違いないと、病床の藍里を問い詰める。すると藍里は悪びれる素振りもなく、憎悪に満ちた目つきで「残りの人生懸けて、私をこんな目にあわせた“あいつ”に復讐する」と言い放ち…。

【プロフィール】

柄本時生(えもと ときお)
1989年10月17日生まれ。東京都出身。O型。主な出演作に、ドラマ「わたし、定時で帰ります。」(TBS系)、「真犯人フラグ」(日本テレビ系)、「忍びの家 House of Ninja」(Netflix)など。出演するドラマ「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」(NHK BS)、伊藤万理華と共に主演を務めるモキュメンタリー作品「PORTAL-X ~ドアの向こうの観察記録~」(WOWOW)が現在放送中。出演する映画「PERFECT DAYS」が上映中のほか、劇場版「鬼平犯科帳 血闘」が5月10日に公開される。

【番組情報】

「消せない『私』-復讐の連鎖-」
日本テレビほか
金曜 深夜0:30~0:59
※Hulu、TVerで配信あり

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