被爆体験を生々しく「核廃絶で平和、絶対に」群馬・高崎寺尾中で飯田さん(広島)が語る

被爆体験を語る飯田さん

 広島市で被爆した飯田国彦さん(81)=広島県東広島市=が7日、群馬県高崎市の寺尾中(伊藤洋一校長)を訪れ、悲惨な体験と核兵器廃絶に向けた思いを全校生徒180人に語った。

 当時3歳だった飯田さんは、爆心地から900メートルの地点で被爆した。「ピカッと閃光(せんこう)を浴び、高く吹き上げられた」。髪は全て抜け落ち、皮膚は黒ずんではがれた。一緒にいた母(25)と姉(4)=いずれも当時=は足から壊死(えし)が進み、1カ月後に亡くなった。

 飯田さんは奇跡的に助かったが、爆風でガラスが刺さった傷が閉じるまで7年もかかった。脳腫瘍など放射線によるとみられる複数の病に苦しみ、染色体異常も発見された。心的外傷後ストレス障害(PTSD)で今でも突然「お母ちゃん、助けて」と声が出るという。

 聴き入る生徒に、飯田さんは悲劇を繰り返してはならないと訴えた。「核兵器はどんな場合にも使うことができない。核兵器廃絶による世界平和を絶対に成し遂げなければならない」と強調した。

 生徒会長の鳥潟百々花さん(2年)は「飯田さんから受け継いだ平和を望む心を世界中に広げて、いつか平和な世界を実現したい」と謝辞を述べた。

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