栃木県の男女平等度、政治6位も乏しい波及効果 都道府県版ジェンダー・ギャップ指数 女性は補佐的な役割に集中か

 上智大の三浦(みうら)まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」は8日の国際女性デーに合わせ、各地域の男女平等度を政治、行政、教育、経済の4分野(計30指標)で分析した2024年版「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」の試算を公表した。栃木県は政治分野が全国6位と上位だが、経済分野は賃金格差などが響き32位に沈んだ。いずれの分野も指数公表が始まった22年から毎年改善しているものの、男女平等にはほど遠い。先進7カ国(G7)男女共同参画・女性活躍担当相会合が本県で昨年開かれたことを踏まえ、三浦教授は「栃木はジェンダー平等への意識は高いが、政治分野の波及効果がないことが課題」と指摘する。

 指数は内閣府などの統計を基に統計処理。「1」に近いほど平等であることを示す。

 本県の政治(6指標)の指数は0.238。女性議員が増えた昨春の県議選を受け、都道府県議会の男女比(8位)が改善。女性議員ゼロ議会(1位)、市区町村長の男女比(2位)は上位につけたが、衆院両院の選挙区選出議員(25位)が押し下げ、全体では23年の4位から順位を落とした。

 行政(10指標)は0.271で前年の23位から25位に後退した。県職員の管理職の男女比が31位と低迷している。一方、県職員採用(大卒程度)の男女比は18位で、22年の31位、23年の25位から改善傾向が見られる。

 教育(7指標)は0.611で20位。小学校長の男女比(5位)と小中高校の副校長・教頭の男女比(同)が順位を引き上げ、23年の24位から上昇した。

 経済(7指標)は0.419。指標内容を一部変更したため、前年との単純比較はできない。フルタイムの賃金格差は全30指標のうち最低の45位。男性の所定内給与額が32万6700円なのに対し、女性は24万1400円で大きく差が開いている。

 三浦教授は「(出産や育児などによる)キャリア中断や短時間勤務の時期があると、男性と5~10年キャリアの差がつく」とした上で、「女性の職務が補佐的な役割に集中しているのではないか。良質な雇用を生み出さなければ選ばれない地域になる」と警鐘を鳴らす。

 各分野の首位は、政治が東京(0.352)、行政が鳥取(0.439)、教育が広島(0.680)、経済が鳥取(0.452)だった。

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