上司が毎日「タバコ休憩」で30分ほど離席します。私はその時間も働いているのに、喫煙者だけ休めて「不公平」ではないでしょうか? どうにかならないんですか?

たばこ休憩は不公平?

たばこ休憩は、非喫煙者から見ると「サボっている」と感じられるでしょう。喫煙者が席を外す時間が増えると、電話や来客応対などを自分だけが行わなければならなくなります。一方、喫煙者からすれば「トイレに行くのと同じ」「生産性を高める時間だ」と主張したいでしょう。

ただし、たばこ休憩は「不公平なこと」とはいい切れません。過去の裁判でも、勤務中の喫煙時間の扱いは異なっています。

__・北大阪労働基準監督署長事件(大阪高判平21・8・25):喫煙時間を労働時間とみなした
・泉レストラン事件(東京地判平26・8・26):喫煙時間を休憩時間とみなした__

とはいえ、明確な決まりがなければ喫煙者、非喫煙者ともに納得いかないこともあるでしょう。たばこ休憩の不平不満を払拭(ふっしょく)するには、職場で明確なルールをつくることが大切です。

たばこ休憩の不平不満を解消する方法

たばこ休憩への不平不満を解消するには、主に3つの対策が考えられます。ぜひ上司や人事担当に進言してみましょう。

休憩ルールを定める

社内規定で休憩時間についてルールを定めることで、社員全員が休憩時間に対する認識を共有できます。例えば「たばこが吸えるのは昼休憩時のみ」とすれば、喫煙者はより仕事に集中でき、非喫煙者は「不公平だ」と感じることが減るでしょう。

喫煙者に寄り添うのであれば「90分に1回10分程度の休憩を取る」のもよいです。喫煙者はたばこを吸えて非喫煙者はリフレッシュができるため、誰にとっても公平です。

非喫煙者に手当を設ける

喫煙者に勤務時間中のたばこ休憩を認める代わりに、非喫煙者へ禁煙手当を支給している会社も存在します。手当があれば、非喫煙者の仕事へのモチベーションアップや喫煙者の禁煙挑戦、健康改善につながります。

ただし、喫煙者が会社全体でわずかしかいない場合は、喫煙者側からの反発を招くリスクもあるでしょう。喫煙する社員が肩身の狭さを感じてしまい、ストレスを増大させる可能性も考えられます。

喫煙者の給与や採用を減らす

たばこ休憩が職場環境に悪い影響を与えていると考えられる場合、企業は社員へ減給措置を取ることができます。たばこ休憩が慣例として認められていても、明らかに労働していない時間がある場合は職務放棄による減給対象といえます。

また、喫煙者の採用をしないと明言するのも1つの手です。「TECH CAMP」を運営する株式会社divは、2018年に喫煙者を採用しないと公言しています。社員が意欲を持って快適に働けるよう、制度を見直してみましょう。

ただし、減給や不採用の表明は社員や第三者からの反発を招きかねません。制度設計は慎重に行いましょう。

たばこ休憩への適切な対応が働きやすい環境につながる

たばこ休憩の取り扱いは、労働基準法にも明確な定めがありません。そのため、喫煙者と非喫煙者の認識のすれ違いを生み、トラブルに発展しやすいのです。職場ごとに適切なルールを決めて不公平さを感じさせない環境をつくることで、社員の意欲や生産性の向上につながるでしょう。

出典

裁判所 – Courts in Japan 労働事件裁判例集 裁判例結果詳細
全国労働基準関係団体連合会 労働基準判例検索-全情報
e-Gov法令検索 労働基準法

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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