世界のM&Aは今年回復へ、米利下げ見通しと買い手の潤沢資金で

Anirban Sen

[ニューオーリンズ 7日 ロイター] - 昨年は低調だった世界の企業合併・買収(M&A)は今年、持ち直す見通しだ。米連邦準備理事会(FRB)の利下げが予想される上、手元資金が潤沢な買い手が大型案件に備えているためだ。

米ルイジアナ州ニューオーリンズで開かれたテューレーン企業法学会では、著名な投資銀行家やM&Aの法律専門家の間から、金利見通しの改善やインフレの鈍化、好調な企業業績、堅調な株式相場により企業経営者の心理が回復しているとの声が聞かれた。

法律事務所ポール・ワイス・リフキンド・ワートン・ギャリソンの法人部門責任者、スコット・バーシェイ氏は「状況は良い方向に進んでおり、回復の芽が出てくるかもしれない」と指摘。「私の直感では、現在は持ち直しの初期段階で、こうした動きが当面続くだろう」と述べた。

調査会社ディールロジックのデータによると、年初から3月第1週までの世界のM&A総額は前年同期比55%増の6017億9000万ドルとなり、100億ドルを超える案件は約3倍の10件に増えた。

だが法律専門家や銀行家によると、規制当局の審査が厳しいため、M&Aの手続き完了までには依然として長い時間を要している。バーシェイ氏は、規模が比較的小さな案件は大型案件ほど審査が厳しくないため、今年は件数が増加するとの見方を示した。

11月の米大統領選も、M&Aの前倒し実施を駆り立てる要因となっている。規制当局の審査が一段と厳しくなるかもしれないためだ。一部の関係者は、大統領選の前後は、将来の政策がより明確になるまで計画を一時休止する動きが出るかもしれないと話している。

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