「中欧班列」、現代のシルクロードを駆け抜ける

「中欧班列」、現代のシルクロードを駆け抜ける

アゼルバイジャンの首都バクーに向け、江蘇省南京市を出発するカスピ海横断列車の第1便。(2月10日撮影、南京=新華社配信)

 【新華社南京3月8日】中国江蘇省にある中国・カザフスタン(連雲港)物流協力拠点は2014年以来、中国初となる「一帯一路」構想の実体プロジェクトとして長期にわたって運用され、世界最大の内陸国カザフスタンが太平洋に通じるための戦略的な「海への出口」に成長した。

 江蘇省は中国で最も早く「中欧班列」の運行を開始した省の一つで、1992年12月に連雲港が最初の国際定期貨物列車の運行に乗り出した。「中欧班列」と、中国と中央アジアを結ぶ「中亜班列」のうち、同省発着の列車運行本数は昨年、前年から7.6%増加してこれまで最多の2千本となった。

 地元の物流会社、連雲港中哈国際物流の孔祥偉(こう・しょうい)副総経理によると、中国・カザフスタン(連雲港)物流協力拠点では、中国の5割以上、中央アジア諸国の6割以上に上る新ユーラシア・ランドブリッジ(連雲港とオランダ・ロッテルダムを結ぶ)のトランジット輸送業務を担っている。うち、中国経由でカザフスタンに輸入される日用消費財と、輸出される鉱物製品や食糧など、優位性のある輸出入品の8割以上が連雲港で集配される。同港を発着する「中欧班列」と「中亜班列」の今年1月のコンテナ輸送量は6114TEU(20フィートコンテナ換算)で、前年同月比43.5%増となった。

 重慶市とドイツ・デュイスブルク間の「中欧班列」は、2011年3月に中国で初めて運行が開始されて以来の運行本数が、今年2月末時点で累計8万5千本を突破している。中国国内の100以上の都市と、欧州20数カ国・地域の200余りの都市、アジアの沿線10数カ国・地域の100余りの都市を結んでいる。

 陝西省西安市は古代シルクロードの起点で、「中欧班列」建設発展計画で明確にされたハブ、集結センターでもある。同市では先月28日、中国とカザフスタンが共同で建設した貿易物流センター「カザフ西安埠頭(拠点)」が稼動した。同日、日用品や機械設備、新エネルギー車などを満載した中欧班列が出発。カザフスタンを経由し、カスピ海を越えて西へ向かい、10日余りかけてアゼルバイジャンの首都バクーに到着した。

 「中欧班列」の力により、「一帯一路」共同建設参加国の住民生活は新たな様相を見せている。欧州では越境電子商取引(EC)プラットフォームで注文すると、「中欧班列」で運ばれ海外倉庫に保管されている中国製の小型家電製品が、早ければ翌日には受け取れる。また「中欧班列」は欧州産のワインや中央アジア産の小麦粉などを中国に届け、人々の生活を豊かにしている。

 日夜疾走する「中欧班列」は国際経済・貿易を刺激する新たな原動力となっている。中国と「一帯一路」共同建設国間の貿易額は昨年、前年比2.8%増加し、貿易額全体の46.6%を占めた。うち、輸出額は前年比6.9%増の10兆7314億元(1元=約21円)に上った。(記者/劉巍巍)

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