年収700万円の手取りはいくら?税金・貯蓄額の目安や生活水準を紹介

国税庁によると、日本における平均年収は461万円です。自分の年収を考えるにあたって、「年収700万円の手取りってどのくらい?」「年収700万円あれば生活は苦しくないの?」といった疑問を持つ人もいるでしょう。

年収700万円の人の手取り金額は520万~530万円前後です。

一見、ゆとりのある生活を送れる金額に思えますが、生活費は家族構成や配偶者の有無、居住している自治体によって異なるため、事前にシミュレーションしておくことが大切です。

この記事では、年収700万円の人の手取りや生活レベルを紹介します。

この記事でわかること

  • 年収700万円の人の手取り
  • 年収700万円の人の生活レベル
  • 年収700万円を実現する方法

年収700万円の人の手取り金額はいくら?

年収700万円の人の手取り金額は、ボーナスや配偶者の有無によって異なります。ここでは、以下の4つのパターンに分けて、年収700万円の人の手取り金額を算出しました。

  • ボーナスなしの場合
  • ボーナスありの場合
  • 配偶者ありの場合
  • 共働き夫婦の場合

手取り金額を求める際に年収から差し引く健康保険料や介護保険料は、自治体によって金額が異なります。介護保険料は40歳から納付義務が発生するため、東京都在住、45歳の人を例に手取り金額をシミュレーションしました。

ボーナスなしの場合

ボーナスがないケースの年収700万円の手取り金額は、年間約522万円となりました。税金や社会保険料の支払額の内訳は、以下の通りです。

このケースでは、年間177万円前後の税金や社会保険料の負担が発生し、額面収入の約75%が手取りとして残ります。1ヵ月あたりの手取り金額は約43万円です

ボーナスありの場合

次に、ボーナス136万円を含む年収が700万円のケースを見ていきましょう。税金や社会保険料の負担額の内訳は、以下の通りです。

この場合、ボーナスを含めた年間の手取り金額は約523万円となります。税金や社会保険料の負担額は年間177万円前後で、手元に残る金額は額面収入の75%ほどです。

また、ボーナスの支給がないケースと比較すると、1ヵ月あたりの手取り金額が低くなっていることがわかります。年収が同じ700万円であっても、ボーナスの支給額が大きくなるほど1ヵ月あたりの手取り金額は小さくなる傾向があります。

配偶者ありの場合

配偶者の年収が0円、つまり専業主婦の場合、年間の手取り額は約533万円となります。税金や社会保険料の負担額の内訳は、以下の通りです。

このケースでは、税金と社会保険料の負担額が年間167万円ほどで、手元に残る金額は額面収入の約76%となります。

前述の通り、配偶者がいない場合の手取り金額は年間約522万円なので、配偶者がいるケースの方が手取り金額は多いことがわかります。配偶者控除が適用されることで所得税と住民税の負担額が小さくなるためです。

配偶者控除とは、納税者本人の合計所得金額が1000万円以下で、配偶者の年収が一定額以下の場合に適用される所得控除です。配偶者控除が受けられれば、課税所得金額が減り、所得税と住民税の金額が小さくなるため、手取り金額が大きくなります。

共働きの場合

次に、夫の年収が450万円、妻の年収が250万円、世帯年収700万円のケースで手取り金額を計算していきます。ボーナスはなしとします。それぞれの手取り金額や税金、社会保険料の負担額の内訳は、以下の通りです。

手取り年額は、夫が約348万円、妻が約199万円となり、世帯全体で約547万円です。1人の年収が700万円のケースでは約522万円なので、夫婦共働きの方が手取り金額は大きくなることがわかります。

なお、世帯全体で負担する税金や社会保険料の金額は72万円で、手取り金額が年収の約78%を占めます。

所得税は所得が高い人ほど高くなる仕組みのため、額面収入が同じなら、共働きの方が税負担は軽くなります。

年収700万円の人はどれくらいいる?

国税庁の調査によると、年収700万~800万円の人の割合は以下の通りです。

  • 男性:8%
  • 女性:7%
  • 全体:6%

平均給与は男性が545万円、女性は302万円となっており、全体平均が443万円です。年収700万円以下の割合が約85%であることから、年収700万円の人は高収入といえるでしょう。

年収700万の生活レベル

収入によって生活レベルにどのような変化が生まれるのかイメージしやすくするために、年収700万円の人に適した家賃や車、住宅の購入価格の目安を紹介します。

いくらの賃貸を借りられる?

家賃は、手取り金額の3分の1以内に抑えるのが望ましいとされています。年収700万円であれば、年間の手取りは520万円前後で、月々の家賃の目安は次の通りです。

520万円×3分の1÷12ヵ月=約14万円

年収700万円で月々14万円の賃貸住宅を借りると、ボーナスの支給がないケースでは「43万-14万=29万円」、ボーナスの支給があるケースでは「35万-14万=21万円」が手元に残ります。

年収700万だと子育てに余裕はある?

文部科学省の調査によると、1年間にかかる学費(大学は授業料)の目安は下表の通りです。

年収700万円の年間手取り金額は、525万円前後です。子ども1人が私立小学校に通った場合、「525万-167万=358万円(1ヵ月あたり30万円)」で食費や家賃といった生活費をまかなわなければなりません。

家族3人であれば、1ヵ月あたり30万円でも問題なく生活できる場合が多いです。しかし、子どもが2人になると、単純計算で学費は2倍になるため、生活が厳しくなるかもしれません。

年収が700万円あったとしても、余裕のある生活を送るためには、就学先を国公立にすることも選択肢に入れておいた方がよいでしょう。

いくらの車を購入できる?

車の購入予算は、年収の半分程度を目安にするのがよいとされています。年収700万円なら350万円が購入予算の目安といえるでしょう。

本体価格が350万円前後の車には、以下のようなものがあります。

  • トヨタ C-HR
  • マツダ CX-3
  • スバル インプレッサ
  • ホンダ フリード

年収700万円であれば、コンパクトカーやSUVなど幅広い車種から選べます。

年収700万でマイホームを購入できる?

平均的な住宅ローンの借入額を知りたいときに参考となる数値に、「年収倍率」があります。年収倍率とは、購入予定の住宅価格が年収の何倍に該当するかを示すものです。例えば、年収700万円の人が3500万円の住宅を購入した場合は、「3500万円÷700万円=5倍」となります。

年収倍率の全国平均は、以下の通りです。

年収が700万円ある人が購入できるマイホームは、4000万~5400万円程度であることがわかります。

年収700万の毎月の生活費と貯蓄額

次に、年収700万円の毎月の生活費と貯蓄額の目安を、以下の4パターンに分けて解説します。

  • 1人暮らしの場合
  • 2人暮らしの場合
  • 子どもが1人いる場合
  • 子どもが2人いる場合

なお、金融広報中央委員会の調査(令和3年度)では、手取り年額10~15%を貯蓄に回している人が最も多いと公表されています。ここでは、手取り金額の10~15%を理想的な貯蓄額と仮定してシミュレーションを行いました。

独身一人暮らしの生活費シミュレーション

独身一人暮らしの生活費の目安は、以下の通りです。

年収700万円の1ヵ月あたりの手取り金額は約43万円となるため、上表の生活費を差し引くと、毎月約27万円が手元に残ります。この世帯の理想的な貯蓄額は、手取り月額の10~15%である約4.3万~6.5万です。

2人暮らしの生活費シミュレーション

2人暮らしの生活費の目安は、以下の通りです。

配偶者のいる世帯では、1ヵ月あたりの手取り金額は約44万円となります。そこから生活費を差し引くと、毎月約15万円が手元に残ります。

この世帯の理想的な貯蓄額は、1ヵ月あたり約4.4万~6.6万円が目安です。

子どもが1人いる場合の生活費シミュレーション

大人2人、子ども1人の生活費の目安は、以下の通りです。

配偶者のいる年収700万円の世帯では、1ヵ月あたりの手取り金額は約44万円となり、上表の生活費を差し引くと約11万円が手元に残ります。この世帯の理想的な貯蓄額は約4.4万~6.6万円なので、貯蓄に回す余裕はあるといえるでしょう。

子どもが2人いる場合の生活費シミュレーション

大人2人、子ども2人の生活費の目安は、以下の通りです。

配偶者のいる年収700万円の世帯における手取り月額の約44万円から、上表の生活費を差し引くと、手元に残る金額は約10万円となります。1ヵ月あたりの理想的な貯蓄額である約4.4万~6.6万円を達成できます。

年収700万だと税金はいくら?

次に、年収700万円の人の税金を計算します。所得税と住民税に分けて、計算方法を詳しく見ていきましょう。

年収700万の所得税

年収700万円の単身世帯の所得税は年間約29万4700円、1ヵ月あたり2万4558円となります。所得税の納税額は、以下の計算式で算出した「課税所得金額」に税率をかけて求めます。

[課税所得金額]=[年間収入]-[給与所得控除(必要経費)]-[所得控除]

今回のケースでは、課税所得金額は361万1000円となりました。それぞれの控除は、以下の通りです。

  • 給与所得控除:180万円
  • 基礎控除:48万円
  • 社会保険料控除:110万9000円

所得税の税率は、課税所得金額に応じて変動します。計算する際は、下表を活用すると簡単に算出できます。

課税所得金額が361万1000円の場合は、所得税率が20%、控除額が42万7500円となるので、以下の計算式で納税額が計算できます。

361万1000円×20%-42万7500円=29万4700円

年収700万の住民税

年収700万円の人の住民税は年間約37万1100円、1ヵ月あたり3万925円となります。住民税は、所得に応じて負担額が変わる「所得割」と、所得にかかわらず定額である「均等割」から算出されます。

所得割の税率は原則10%です。課税所得金額361万1000円とすると、所得割は以下のように計算します(税額控除なしの場合)。

366万1000円×10%=36万6100円

これに均等割額の5,000円を足すと、住民税の納税額が以下のように算出できます。

36万6100円+5,000円=37万1100円

年収700万を稼ぐようになるために

年収700万円を実現するためには、以下のような方法があります。

  • 現職での昇格を目指す
  • 資格を取得して手当を活用する
  • 現職より給料が高い会社へ転職する
  • 副業を始める

現職での昇格を目指す

年収700万円を実現するためには、現職での昇格を目指すのが有効です。一般的には業務成績や試験、推薦などにより、企業が規定した基準を満たせば昇格できるケースが多いです。

企業ごとに基準は異なるものの、昇格するためには、求められている成果をしっかり出せていることが条件となります。加えて、意欲や向上心が伝わるように、新しいプロジェクトやリーダーに挑戦するなど行動で示していく必要があります。

資格を取得して手当を活用する

現在の仕事に役立つ資格を取得することで、資格手当が支給される場合があります。資格手当により、毎月の給料が上がれば、年収700万円を目指せるケースもあるでしょう。

資格手当の条件や金額は、企業によって異なります。資格取得をする際は、勤務先に資格手当があるか、どれほどの支給額になるのかを確認しておきましょう。

現職より給料が高い会社へ転職する

現職での年収アップが見込めないときは、給料の高い会社へ転職するのも手段の1つです。一般的に以下のような職種、業界は、年収700万円を目指せる可能性が高いといわれています。

年収700万を目指せる職種

  • エンジニア
  • コンサルタント
  • 営業(不動産や金融、保険など)

年収700万を目指せる業界

  • 電気・ガス・熱供給・水道業
  • 情報通信業
  • 金融業・保険業
  • 学術研究、専門・技術サービス業

副業を始める

年収700万円を実現するには、副業を始めて本業とは別の収入源を作る方法もあります。副業はスキルが収入アップに直結しやすいものがおすすめです。

  • プログラミング
  • Webデザイン
  • Webライティング
  • 動画編集

これらの副業は、スキルを身に付け、経験を積んでいくほど、収入が上がりやすくなります。ただし、人によっては結果が出るまで時間がかかり、途中でやめてしまうこともあります。副業で年収700万円を目指すには、本業と両立できるようにスケジュールを管理し、あきらめずに続けることが大切です。

年収700万の世帯が資産を増やすためにできること

日本の預金金利は0.001%と低い水準にあるため、預貯金をしてもお金が大きく増えることがないでしょう。年収700万円世帯が貯蓄を増やすなら、以下のような方法で資産運用するのがおすすめです。

  • 投資信託:プロの投資家が株式や債券などに投資して運用益を得る方法
  • 株式投資:株式による売却益や配当金などで利益を得る方法
  • 債券:国や企業が発行する債券の利息で利益を得る方法
  • 不動産投資:土地や建物などの不動産を購入して家賃収入や売却益を得る方法

これらの資産運用は、物価の上昇によりお金の価値が低下することへの対策としても有効的です。

年収700万円の世帯が資産を増やすためには、長期的な視点での計画と具体的な行動が必要です。

年収700万円は、生活水準を維持しながら、資産形成を始めるのに十分な金額です。しかし、将来のライフイベントや教育費などを考えると、計画的な資産運用が重要になります。

そこで役立つのが、ライフプラン表です。

ライフプラン表は、結婚、出産、住宅購入、教育資金、老後資金など、人生における様々なイベントと必要資金をまとめたものです。

ライフプラン表を作成することで、以下のメリットがあります。

  • 将来必要な資金を把握できる
  • 目標金額を達成するための計画を立てられる
  • 資産運用のモチベーションが上がる

さらに、ライフプラン表と合わせて、具体的な資産運用方法を検討することで、より効率的に資産を増やすことができます。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。
ライフプラン表はライフイベントを把握して立てよう!作成方法と活用方法を解説

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まとめ

手取り金額は収入から社会保険料や所得税、住民税を差し引くことで求められます。年収700万円の手取り金額は、520万~530万円です。

年収700万円の生活レベルを知りたいときは、生活費の目安や世帯人数、居住地域などを考慮すると、より正確なシミュレーションがしやすくなります。

お金の節約方法や資金準備の進め方に不安がある場合は、この記事を参考に自分でシミュレーションをしたり、FPに相談したりしてみましょう。

FPに相談しながら、ライフプラン表を作成するのもおすすめです。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
ファイナンシャルプランナーに相談するときの注意点、相談内容やメリットを解説

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