冬の大東島特集の最終回です。
これまで、北大東島の朝霧、台風岩、霧が作り出したアート、昨年から続く大東島の少雨の状況などを紹介させていただきました。今週のコラムは北大東島→南大東島へ移動していきたいと思います。
「朝霧は晴れ」はほんと？
先週のコラムで紹介した「朝霧は晴れ」のことわざ通り、朝霧が出た後の北大東島空港の上空は雲なしの快晴でした。北大東島と南大東島の距離はおよそ13キロ。北大東島から南大東島へはおよそ7分間のフライトでした。南大東空港の上空も晴れていました。「朝霧は晴れ」、まさしく高気圧にすっぽり覆われていると実感しました。
毎日朝夜に飛ばす白い風船
南大東島地方気象台にも行ってきました。高層気象観測（ラジオゾンデ観測・ウィンドプロファイラ観測）といって、気象庁は16地点のラジオゾンデ観測網と33地点のウィンドプロファイラ観測網によって高層気象観測を実施しています。ラジオゾンデ観測は、午前9時と午後9時に行っています。
また、このほかに海洋気象観測船が周辺海域において不定期にラジオゾンデ観測を実施しています。
南大東島地方気象台では、ラジオゾンデ観測とウィンドプロファイラ観測の両方を行っていて、この二つの観測を行っているのは、沖縄ではここだけです。ただし、台風接近時などの悪天候では飛ばさないこともあるそうです。
島のパンフレットにも、ラジオゾンデ（通称:白い風船）が上がる時間が紹介されていて、観光名所になっているようでした。私が撮影した日も観光客の方がみえていて、動画にはゾンデが飛び上がる瞬間に歓声が入っています。この日の上空の気温や湿度などのデータはこのように気象庁のホームページ（HP）で見ることができます。
ラジオゾンデは、そのほとんどが海上に落ちるそうですが、まれに陸上に落ちてしまうこともあるようです。
Q.もしラジオゾンデを拾ったら？
A.気象庁の方で回収するそうです。測器のラベルに記されている連絡先へご連絡ください、と気象庁HPに記載されています。ちなみに、私はまだ拾ったことがありません。
桜の開花は最も遅く、満開はまだ…
沖縄で桜の開花は、那覇、宮古島、石垣島、大東島の4か所で観測をしています。
南大東島の今年の開花は2月16日で、最も遅い開花となりました。（平年値は1月20日）
満開の平年値は2月5日で、これまでの最も遅い記録は3月1日となっています。南大東島では、2023年、2021年、2020年にも満開の発表はありませんでした。（石垣島でも、8日正午時点でまだ満開の発表はありません）
南大東島地方気象台に、今年の開花や満開が遅れている理由を聞きました。
「直接的な要因は分からない。4月1日に今年の満開は観測なしになるのか判断していく。今後も咲きにくい状況が続くようであれば対応していく予定です」とのことでした。
今回の大東島で見聞きしたものは、沖縄本島生まれの私には本島とはまた違った魅力を感じました。「うちなぁ季節めぐり」、冬に行く大東島めぐり、皆さんもいかがでしょうか。
週末はすっきりしない天気に
沖縄地方は、大陸から高気圧が張り出し、冷たい空気が流れ込んでいます。この週末も各地とも、すっきりしない天気となるでしょう。真冬の寒さが続きますので、体調管理に注意が必要です。
来週11日（月）から12日（火）にかけては、前線や湿った空気に伴い、一時的に雨が強まる予想です。
県内ではダムの貯水率の低い状態がまだ続いていますが、11日（月）から12日（火）にかけての雨は、一時的なものとなりそうです。引き続き、節水への心がけをお願いします。
崎濱綾子
気象予報士/防災士（株式会社ウェザーマップ）
沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005～2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月～金曜日の気象キャスターを担当。2016年4月から東京の本社で勤務。Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風（カーチーベー）。
