西武、中日がOB戦を“解禁”した「切実な事情」OBにもメリットが

3月16日に西武、7月25日に中日がそれぞれ球団初OB戦を開催することが発表されている。

「西武はこれまでOB会組織が無く引退した選手、指導者の集まる場所が全くありませんでした。これまでOB会結成の機運が高まったこともありましたが、実現には至らなかった。今回OB戦で監督をする東尾修氏は73歳、田淵幸一氏も77歳です。西武ライオンズ黎明期のメンバーが元気な間にOB戦を開催しなければ二度とできないことを考え、コロナ禍が明けた今春に企画されました」(西武ライオンズOB)

一方で中日は球団創設88周年に引っかけて夏場に空調の効いたバンテリンドームナゴヤでの開催を先月下旬に球団親会社のメディアが報じたばかり。

「こちらはOB会組織があり現役選手との交流もあります。以前から計画はありましたがスポンサーなどの調整が必要なため時間を要したようです」(中日ドラゴンズOB)

昔からの野球ファンにとっては嬉しいOB戦だが、その裏でこの2球団には切実な悩みが見え隠れしている。

「正直、コロナ禍で減収した穴埋めができていないのです。そのため、新たな“ドル箱”候補としてOB戦開催を考えたようです。OB1人のギャラは10万円ほどと格安で、重鎮クラスでも20万円あれば登場してくれます。チケット収入、グッズ売り上げ、テレビ中継もあれば球団としては完全に黒字興行となるのです。毎年とはいかないまでも、定期的に開催できれば、収益が見込めるのは球団経営としてもありがたいでしょう」(球界関係者)

また、OB側にとっても旨味はあるそうだ。

「現役時代と同じ球団のユニフォーム姿でグラウンドに立てば気持ちもみなぎってくる。そして球場に自分の子供や、孫まで招待できるから、いい顔もできます。特にテレビ、ラジオ、新聞の解説、評論が減ってきたOBにとってはまたとない露出になり存在感をアピールできるのは大きい。野球人にとってファンや球団、関係者から忘れ去られた存在になるほど悲しいことはありませんから。トレードや居住地が変わり、縁遠くなったOBも今回の企画をきっかけにまた縁が復活して立ち寄りやすくなるのは間違いないでしょう」(前出・西武ライオンズOB)

球団、OB、往年のファン三方よしのOB戦はまさにウィンウィンウィンの関係。今後の球界で新たなブームとなりそうだ。

© 株式会社光文社