口コミ依頼に応じてクーポン提供、実はグーグルのポリシー違反 お台場のテーマパーク、配布中止して謝罪

口コミ投稿の依頼に応じた客にクーポンを渡したことはグーグルマップのポリシーに違反していたとして、東京・お台場にオープンした体験型テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」が2024年3月8日、公式サイト上などで謝罪した。

このテーマパークは、物語の世界に入ったような没入感(イマーシブ)を楽しめる屋内施設として、1日にオープンしたばかりだ。

「口コミ内容には関与しておりません」

客は、映画やアニメ、ゲームの世界で物語の謎解きをしたり、キャストと踊ったりして、そのキャラクターになり切った体験ができる。シャーロック・ホームズから人気アニメ「推しの子」などまで、盛りだくさんのメニューが用意されている。

施設は、22年に営業を終えたショッピングモール「ヴィーナスフォート」の建物をリニューアルした。チケットは、体験するアトラクション数に応じて、大人は6800~1万4800円まである。

オープンしてほぼ1週間が過ぎた8日、イマーシブ・フォート東京は、公式サイトを更新し、「Googleマップ口コミ投稿に関してのお詫び」と題するお知らせを出した。

それによると、前日の7日に施設内で、運営側がグーグルマップの口コミ投稿を依頼するリーフレットを客に渡し、投稿に応じた客には、パーク内のショップやレストランで使える1000円のクーポンをプレゼントした。しかし、投稿した客にクーポンを配る行為は、グーグルのポリシーで許可されていないものだった。

施設では、「口コミ内容には関与しておりません」としながらも、このポリシーを重く見て、リーフレットを受け取った可能性のある客には、ポリシーのことを説明するとともに、投稿した口コミの削除を依頼した。また、8日からは、クーポン配布を中止していると説明した。最後に、「ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます」と謝罪している。

「社内でポリシーに抵触する可能性を指摘された」

グーグルの「マップのユーザー作成コンテンツに関するポリシー」では、「禁止および制限されているコンテンツ」の具体例を挙げている。

その中には、「企業が割引、無料の商品やサービスと引き換えに投稿を促したコンテンツ」があり、施設のクーポン配布がこれに当たるとみられている。そこでは、「料金の割引、商品やサービスの無償提供などのインセンティブと引き換えに、否定的なクチコミの修正または削除を依頼する行為も含まれます」と但し書きが付けられていた。

そのほかにも、禁止コンテンツなどが列挙されている。「実体験に基づいていないコンテンツの投稿に対して報酬を支払う、またはそのような投稿を促す行為」「否定的なクチコミの投稿を妨げたり禁止したりする行為や、肯定的なクチコミを顧客から募る行為」などいくつかあり、これらは、「虚偽のエンゲージメント」とされていた。こうした行為は、「許可されておらず、削除されます」と警告している。

テーマパークを運営するマーケティング会社「刀」(大阪市)の広報担当者は3月8日、J-CASTニュースの取材に対し、グーグルポリシーで許可されていなかったのは、「企業が割引、無料の商品やサービスと引き換えに投稿を促したコンテンツ」の部分だったと明らかにした。

「リーフレットの配布を始めたところ、社内でポリシーに抵触する可能性を指摘され、配布を止めました。グーグルや客からの指摘ではありません。配布する時点では、抵触することに気づかず、後で分かったということです」

テーマパークは、想定以上にメディアで話題になり、オープン1週間で、たくさんの客が来ているとした。チケット代については、海外と比べても高いという認識はなく、アトラクションのいくつかは売り切れたとしている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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