志尊淳「日本の宝だと思ってる」杉咲花の魅力を熱弁 『52ヘルツのクジラたち』舞台あいさつ

映画『52 ヘルツのクジラたち』の大ヒット御礼舞台あいさつが 3 月 7 日(木)、東京・豊洲のユナイテッドシネマ豊洲にて開催。杉咲花、志尊淳、成島出監督が登壇。観客から寄せられた質問に答えた。

2021 年の本屋大賞を受賞した町田そのこの『52 ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)が原作となっている本作。3 月 1 日(金)から公開を迎え、すでに幅広い客層を集客し、SNSでは絶賛嗚咽の声があふれ、Filmarks「初日満足度ランキング」でも No.1 を獲得するなど、クチコミの良さも話題を呼んでいる。

主人公・貴瑚を演じるのは、抜群の演技力で映画・ドラマと幅広く活躍し、国民的女優としての地位を確固た るものにしている杉咲花。貴瑚が幸せになることを一身に祈るトランスジェンダー男性の塾講師・岡田安吾役に 志尊淳。職場の上司で貴瑚の初めての恋人となる新名主税役に宮沢氷魚、貴瑚の高校時代からの親友・牧岡美晴役に小野花梨。貴瑚が海辺の街で出会う少年役に桑名桃李。人間の光と影を見つめ続ける名匠・成島出による、切なる思いの先に、胸を揺さぶる希望の光を届けてくれる愛の物語が完成した。

舞台あいさつでは杉咲が演じた貴瑚が映画終盤で桑名桃李演じる少年の髪を切るシーンの撮影についての質問が寄せられた。こちらのシーンでは実際に杉咲が髪を切っており、杉咲は「桃李くんは、ヘアドネーションをしたくて髪をずっと伸ばしてきたと聞いていて、実際に切った髪は(ヘアドネーションに)出されたんですが、(撮影は)一回きりで、そして大切に、大切に伸ばしてきた髪だと知っているからこそ、緊張しました。最初は人工ウィッグで練習したん ですけど、実際の毛とは毛質が全く違って、『こんな切れ味なんだ』と感動しながらカットしました」とふり返った。 成島監督はこのシーンの桑名の笑顔について「2 年間、伸ばしてきて、これで終わりということで、嬉しくなってあの笑顔なんです(笑)。貴瑚と美晴(小野花梨)に囲まれて、2年間の長い旅が終わった素直な笑顔で、それが撮れたのはラッキーでした」と明かした。

また、俳優として現場で対峙し、さらに完成した作品を見て、お互いに感じた俳優としての魅力や素晴らしさについての質問に対して、志尊は杉咲の魅力を「(語り始めると)2 時間くらいかかる(笑)」と前置きしつつ、「杉咲さんが出る作品を見て、みなさんと同様に『なんて素晴らしいんだろう』と思っていますけど、それが『天才だから』と か『生まれ持ったものだ』と思われるのがすごくイヤなんです。杉咲花という人間は、こんなにも作品に自分の 気持ちや時間を捧げていて、『こんなにも寄り添い遂げる人がいるんだ!』というのをそばで見て感じていました。 彼女は多分、自分で思い描いて余裕を持ってなんてやっていなくて、1 シーン、1 シーン、『このままなくなっち ゃうんじゃないか?』と思うくらい、すり減らして向き合ってるんです。僕が心配なのは、このまますり減って、 壊れてしまうこと。でも、それが花ちゃんが仕事に向かうスタンスだから、上手く共存できて、自分の身体をしっかりと保てるんであれば、僕は日本の宝だと思ってるんで、これからもいろんな作品を届けてほしいという思いです」と熱い“杉咲花論”を展開し、会場は同意の温かい拍手に包まれた。杉咲は「これ以上ないほどの言葉をいただいて、身に余る言葉で恐縮で嬉しいです」と照れくさそうな笑みを浮かべつつ「こんなふうに言ってくださる、自分にも想像しきれないほどのとてつもない愛情をもって、志尊くんは現場に毎日立っていてくださったので、そんな方と共演できたことは、かけがえのない時間でしたし、いち俳優としても心の底から尊敬しています」と返した。

舞台あいさつの最後に杉咲は「日々を営むほとんどの人が、なにかしらの孤独と戦っていると思います。私は生きていたら寂しいことばかりだと思っていて、人のことを思ってもみない形で傷つけてしまうことも、傷つけられてしまうことも怖いし、他者との関わりって煩わしいものでもあると思います。でも、その寂しさを紛らわせてくれるのも、人の存在だと思っています。他人の痛みをわかることはできなくても、それでも隣にいて、想像力をもって、これからも関わろうとしていきたいと、この映画を見て感じました。もしそんなふうに思ってくださる方がいたら嬉しいです。よかったら、みなさんの言葉で、この映画の話を誰かにしていていただけたらうれしいです」と締めくくり、温かい拍手の中で舞台あいさつは幕を閉じた。

『52ヘルツのクジラたち』絶賛公開中

写真提供:(C)2024「52ヘルツのクジラたち」製作委員会配給:ギャガ

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