国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」に登録されている上野三碑の一つ、多胡碑(群馬県高崎市吉井町池、711年建立)で昨年12月から進められてきた保存修理が完了した。少なくとも約250年前から碑の上で二つに割れていた笠石の亀裂が目立たなくなり、前後逆向きだった笠石を正しい位置にした。10日の一般公開では普段閉めているガラスの扉を開け、当時の姿を見られる初の機会となる。
保存修理では、笠石と碑の間に緩衝材を挟んで碑の上面全体で笠石の重みを受け止めるようにし、笠石の割れ目をしっくいや砂岩で見えにくくした。笠石の向きは少なくとも江戸時代以降、複数回変わり、割れ目が正面に来るのを避けて置かれたと推測されている。
新年度は碑の下の部分に砂を敷き詰めて景観を整えるとともに、万が一落下した際のクッション機能を強化する方針。市文化財保護課は「以前よりも耐震が強化されて安心している。本来の姿をぜひ見てほしい」としている。
多胡碑、山上碑、金井沢碑の一般公開は10日午前9時~午後3時。