日本アカデミー賞授賞式、注目の主演女優賞と監督賞 『ゴジラ-1.0』組が本命?

今年で47回目を迎える日本アカデミー賞授賞式が3月8日に実施される。

今回は2023年1月1日から12月31日までに公開され、選考基準を満たした日本映画148作品、外国映画221作品に対して3,950名の日本アカデミー賞協会会員による投票が行われた。すでに優秀賞は発表されているが、協会員全員が最終投票を行って決定した最優秀賞が今夜明らかになる。

司会を務めるのは羽鳥慎一アナウンサーと、昨年『ケイコ 目を澄ませて』で最優秀主演女優賞に輝いた岸井ゆきの。プレゼンターは、安藤サクラ、岸井ゆきの、窪田正孝、妻夫木聡など昨年の最優秀賞受賞者が務める。

まず注目したいのは、毎年様々な役柄を見せてくれる女優2人だ。昨年『ある男』で初の最優秀助演女優賞受賞を果たし、印象的なスピーチを行った安藤サクラは、今年も『怪物』で優秀主演女優賞、そして『ゴジラ-1.0』で優秀助演女優賞を受賞。また、浜辺美波も『ゴジラ-1.0』で優秀主演女優賞、『シン・仮面ライダー』で優秀助演女優賞とダブルでの受賞となり、どちらかが“最優秀賞”を手にする可能性が高い。また、優秀助演女優賞には、安藤サクラと同じく2年連続で永野芽郁(『こんにちは、母さん』)も選ばれた。

優秀主演男優賞では、昨年も『死刑にいたる病』で優秀賞に選ばれた阿部サダヲ(『シャイロックの子供たち』)に加え、神木隆之介(『ゴジラ-1.0』)、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した役所広司(『PERFECT DAYS』)、そして水上恒司(『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』)、鈴木亮平(『エゴイスト』)と様々な世代の実力派が勢ぞろいしているため、どのような点が“最優秀賞”の決め手になるのか気になるところだ。

さらに、作品賞では『怪物』『ゴジラ-1.0』『こんにちは、母さん』『福田村事件』『PERFECT DAYS』が優秀賞に選ばれた。日本を代表する監督たちが作り上げた作品が並ぶ中で、目立つのはやはりドイツ人監督ヴィム・ヴェンダースが手掛けた『PERFECT DAYS』だろう。ヴィム・ヴェンダースは優秀監督賞にも選出されており、国際長編映画賞にノミネートされた米国の第96回アカデミー賞授賞式を前に、どのような結果になるのかも注目したい。

実際に起きた虐殺事件を描いた『福田村事件』を手掛けた森達也も優秀監督賞を受賞。ドキュメンタリー映画を中心に活躍していた森監督初の劇映画が選ばれたことから、この勢いでの“最優秀”受賞への期待も大きい。そのほか、『怪物』の是枝裕和監督、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の成田洋一監督、『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督が優秀賞に選出された。

そして作品賞や俳優賞を含む最多12部門受賞となったのは『ゴジラ-1.0』だ。同作は米国アカデミー賞の視覚効果賞にも日本映画として初めてノミネートされているため、『PERFECT DAYS』と同様に、日本アカデミー賞だけでなく米国アカデミー賞での行く末まで見守りたい。

年に一度開催される映画の祭典・日本アカデミー賞授賞式。これだけ多くの映画人が一堂に会する場はとても貴重だ。その上、彼らの映画に対する熱い想いを、スピーチを通して聞くことができるのも魅力。まだ劇場で上映中の作品が多いため、授賞式を見てから映画館に足を運んでみても、また違った良さを味わうことができるかもしれない。

受賞一覧

■優秀作品賞

『怪物』
『ゴジラ-1.0』
『こんにちは、母さん』
『福田村事件』
『PERFECT DAYS』

■優秀主演男優賞

阿部サダヲ『シャイロックの子供たち』
神木隆之介『ゴジラ-1.0』
鈴木亮平『エゴイスト』
水上恒司『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
役所広司『PERFECT DAYS』

■優秀主演女優賞

綾瀬はるか『リボルバー・リリー』
安藤サクラ『怪物』
杉咲花『市子』
浜辺美波『ゴジラ-1.0』
吉永小百合『こんにちは、母さん』

■優秀助演男優賞

磯村勇斗『月』
伊藤健太郎『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
大泉洋『こんにちは、母さん』
加瀬亮『首』
菅田将暉『銀河鉄道の父』

■優秀助演女優賞

安藤サクラ『ゴジラ-1.0』
上戸彩『シャイロックの子供たち』
永野芽郁『こんにちは、母さん』
浜辺美波『シン・仮面ライダー』
松坂慶子『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』

■優秀監督賞

ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』
是枝裕和『怪物』
成田洋一『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
森達也『福田村事件』
山崎貴『ゴジラ-1.0』

(文=伊藤万弥乃)

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