引っ越したら住民税が高くなった気がします。住む場所によって金額が変わるのですか?

退職時や個人事業主へ転身したときに、通知された住民税納付額を見て「なぜこんなに高いの?」と驚いた経験がある人もいるのではないでしょうか。

「もしかして、自治体によって金額が違う?」と考える人もいるかもしれません。

実際には自治体ごとに例外的に差はあるものの、基本的には納付金額に大差はありません。

住民税がやたら高く感じてしまうのには、理由があります。

この記事では、住民税が高く感じてしまう理由と、基本的な住民税の仕組みについて解説します。

個人住民税の税率はどの自治体でも変わらない

個人にかかる住民税の税率は全国どこの自治体でも均一です。

  • 市町村民税:6%
  • 道府県民税:4%
  • 合計:10%

自治体ホームページの「よくある質問」に、「住所が変わって住民税が高くなったような気がする」という疑問が掲載されていることがあります。

しかし、転居して住民税が高くなるということはありません。

なぜ住民税が高く感じしまうのか?

新しい住所で住民税が高くなったと感じてしまうのはなぜでしょうか。

主な原因として、「国民健康保険と勘違いしている」「普通徴収への移行タイミングで誤解してしまう」の2つが考えられます。

国民健康保険と勘違いしている

国民健康保険料は、自治体ごとに納付金額が異なります。

国民健康保険料は、「所得割」「資産割」「均等割」「平等割」という4つの割賦基準を組み合わせて算出されます。

自治体ごとの金額の違いは、税率や選択方式の差です。

高齢者が多い自治体では、都道府県の標準税率通りに保険料を定めてしまうと、国民健康保険の財政が破綻しかねません。

国民保険の健全な運用を維持するために、加入者の負担を増やして調整しています。

国民保険料の高さに衝撃を受けた状態で住民税の金額を確認すると、「住民税も高いのでは?」と錯覚しやすくなるのかもしれません。

普通徴収への移行タイミングで誤解してしまう

会社員の場合、一般的に毎月の給料から住民税が天引き(特別徴収)されています。

特別徴収の場合、住民税の金額よりも給与手取り金額に注目してしまうため、住民税の高さを感じる機会は少ないかもしれません。

退職後に普通徴収となり、毎月の請求から期ごとの請求に切り替わった際に「住民税が高い!」と感じてしまう人もいるでしょう。

引っ越しのタイミングが重なれば自治体が変わったせいで高くなった、と錯覚してしまうのも無理はありません。

住民税の仕組みと徴収タイミング

住民税は前年の収入をもとに算出され、決定した納付額は6月に通知されます。

住民税の支払い開始は6月からです。

所得税はその年のうちに精算されますが、住民税は翌年に精算する点に注意が必要です。

退職して収入がない場合や、何らかの原因で所得が下がった状況でも、前年の収入で算出された住民税が請求されます。

住民税は所得額に応じて課税される所得割と、所得金額に関係なく定額で課税される均等割で構成されています。

所得割
所得割は所得税と同じ方法で算出されます。税率は10%。内訳は道府県民税4%、市町村民税6%です。

均等割
均等割は課税対象者一律で決められており、市町村民税3,500円、道府県民税1,500円、あわせて年間5,000円です。

住民税が払えないときは自治体へ

収入状況の悪化によって住民税が払えなくなった場合、自治体へ相談すると分割納付に応じてくれるケースもあります。

住民税の納付が難しいと感じたら、自治体へ相談してみましょう。

分割納付はどこの自治体も相談に乗ってくれますが、住民税の免除になると簡単には応じてくれない点には注意が必要です。

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