【本プレゼント】20代・30代は「時間がある」特権を活かすべし! 投資の始め方を指南

今注目の書籍の一部を公開して読みどころを紹介するシリーズ。今回は、新NISAを活用した資産形成について解説した花村泰廣編著『新NISAを最大限使いこなすにはどうすればいいですか? 目的別・年代別のシミュレーションで徹底解説 』の一部を特別に公開します(全4回/本記事は第2回)。

※本記事は花村泰廣編著『新NISAを最大限使いこなすにはどうすればいいですか? 目的別・年代別のシミュレーションで徹底解説 』(日本実業出版社)から一部を抜粋・再編集したものです。

まずはライフプランを立てる

どのような投資プランがよいかは、目的や年齢などによって変わります。目標までの期間が長く取れる人は、リスクを高めにしてもいいかもしれません。逆に期間が短い人は、リスクを低く抑えておくのも手です。

老後までの時間がある20代、30代は投資できる期間はたっぷりありますが、途中には結婚や子どもの誕生、住宅の購入などさまざまなライフイベントがあり、転職や独立などで収入の変化もあるでしょう。

40代になると、家族構成や働き方が多様化し、人によってライフステージもさまざまに異なってきます。節目ごとに投資額や投資する商品を見直し、必要に応じて売却もしながら、目的を達成していくことが求められます。

さまざまなライフイベントを終えた50代、60代にとっての投資は、老後資金づくりが投資の主な目的となります。この年代は定年や再雇用での収入の減少、そして年金生活と、収入が大きく変わる時期であること、まもなく資産を取り崩すステージに入ることも念頭におき、リスクをコントロールしていくことが鍵です。

投資する環境や目的は人それぞれ異なるので、新NISAを始める際は、ライフプランを立てることをおすすめします。教育費や住宅購入などのライフイベントにかかる費用は、何歳ごろにいくらくらい使いたいのか。老後はどんな生活を送りたいのか。将来の収入と支出はどのくらいになるのか。ざっくりでかまわないので、「なんのために投資をするのか」を考えながら長期スパンの計画を持っておきましょう。貯蓄と投資をどう組み合わせるか、投資額や投資する商品をどうするかを考える際の判断基準になります。

この項では、年代別の新NISAの活用方法、リスクの取り方、投資する商品などについてご紹介します。年代別といっても、いま申し上げた通り、投資のスタイルは目的や投資できる額、家族構成などによって個人差が大きいのが現実です。ここでは大きな流れと各年代のポイントについて、押さえてください。

20代……積み立ての仕組みをつくる

20代は、新NISAの口座を開き、つみたて投資枠で積立投資を開始することをまず目標にしましょう。とにかく若いうちに積み立てを始めることが資産形成のうえでは有利に働きます。少額でよいので、収入が入ったら自動的に投資できる仕組みをつくることを目指してください。

積み立てを始めたら、結婚、出産、住宅購入、やりたいこと、転職など、考えられるライフプランをイメージでもよいので書いてみましょう。ライフイベントに向けての準備は、早ければ早いほど負担を分散できますので、貯蓄や投資を考えるうえでよい資料になります。

この世代は、老後までの時間がたっぷりあり、リスクを取れるのが最大の特権です。投資する商品は、株式型のファンドをベースにしてよいでしょう。日本の人口は減りつつありますが、世界の人口は増加傾向にありますので、世界経済の成長は期待できます。投資先は国内だけでなく海外にも分散できるものに着目してみましょう。選択肢としては、「全世界株式」や「先進国株式」のインデックスファンド、海外株式の比率が高いバランスファンドなどが挙げられます。

結婚や留学など、近い将来に資金を使いたい場合は、株式比率を抑えたバランスファンドや債券ファンドが有力な選択肢となります。期待リターンは株式型のファンドより落ちますが、値下がりリスクを抑えられるので、使いたいタイミングで売却しやすくなります。

30代……投資額をできるだけ上乗せしていく

30代は20代よりライフイベントが多くなり、収入も増えるため、資産運用も見直しが必要です。20代から始めた人、30代から始める人のどちらも、手持ちの資産と収入を洗い出し、今後どのくらいの金額を投資に回していくか、整理するとよいでしょう。

投資する商品は、基本的には20代と同様に、使うタイミングが近いものはバランスファンドや債券ファンド、老後資金や教育費など10年以上先の目的であれば、株式型のインデックスファンドや、株式比率の高いバランスファンドでの運用でもよいと思います。

いずれにしても、できれば20代よりも投資額を上乗せしていきたいところです。30代はまだ、定年まで20〜30年あります。積立期間が長い人、その中でも若いころの積立額が多かった人は、同じ環境ならば最終的な運用成績が良くなる可能性が高まります。

利益が利益を生む複利効果は、後半になればなるほど大きくなるので、初期のころの積み立てを少しでも頑張るほど、有利に作用するのです。

30代に入って収入が増えても、生活水準はできるだけ変えず、増えた分を投資に回していけると理想的です。たとえば子どもが生まれて児童手当や会社の家族手当などが支給されても、それを「なかったもの」として投資に回すなど、無理せずできる上乗せを心がけるだけでも未来の景色が違ってきます。塾代や受験費用など、子どもの教育費がかかり始める前の貯めどき期間を有効に使えるように計画しましょう。

また、結婚した場合、新NISAの口座はぜひ夫婦2人でそれぞれ開設しましょう。非課税投資枠が倍になるだけでなく、夫は老後資金用、妻は教育費などのライフイベント用といったように、目的を分けて使えば、管理の面でもわかりやすくなるのでおすすめです。

●第3回【40代~70代・年代別に指南! ライフプランとお金の付き合い方の「大原則」】では、40代以降のライフプランについて解説します(3月13日公開予定)。

***

花村泰廣編著『新NISAを最大限使いこなすにはどうすればいいですか? 目的別・年代別のシミュレーションで徹底解説 』(日本実業出版社)

花村 泰廣/アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所 主席研究員

1986年大和証券に入社し外国債券のディーリング業務や米国株のリサーチ業務などを経て、1999年にモーニングスターの創業期に参画し、ファンドアナリストの先駆けとなる。2006年に興銀第一ライフ・アセットマネジメント(現:アセットマネジメントOne)に入社し投資信託の商品開発に従事。その後は、投資信託のパンフレットやホームページの制作、各種シミュレーション・ツールの開発等の業務を担当するなど、38年にわたって一貫して投資関連業務に携わる。現在、アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所 主席研究員。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、金融コンプライアンス・オフィサー1級。

© 株式会社想研