【光る君へ】制作も驚いた毎熊ロス、直秀が登場した狙いとは

『源氏物語』で知られる平安時代の女流作家・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の激動の人生を、吉高由里子主演で描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。3月7日には滋賀県の琵琶湖畔で、まひろたちが越前へ向かう船旅のロケがおこなわれ、制作統括・内田ゆき氏が越前編の内容とともに、この週に放送された第9回の反響について語った。

『光る君へ』第9回より、「鳥辺野」へと連行され死を覚悟する直秀(毎熊克哉) (C)NHK

平安貴族たちのパワーゲームと並行して、まひろと藤原道長(柄本佑)の秘めた関係を描く『光る君へ』。この2人を助けつつも、当時の庶民の実状と本音をぶつける存在として登場したオリジナルキャラ・直秀(毎熊克哉)が、第9回で役人に殺害されるというまさかの展開に、「なんでいなくなっちゃうんだ」「直秀ロス無理すぎる」などの声があふれ、内田氏も反響の大きさを「ちょっと予想以上でした」と驚く。

「『まひろと道長の青春時代に、どこで区切りを付けるか?』という話のひとつとして、身分も違うし、謎を持っていて、かつ魅力的な人物として出しました」と登場させた狙いを説明し、「『身分が違ってもなんでもできる』『身分が違うからこそ、できることとできないことがある』など、彼に出会わなければわからなかったことがある。そういう深いことを、若い2人に遺していける人物に描けたかなあと思います」と手応えを語った。

『光る君へ』第8回より、右大臣の館に押し入り捕らえられた直秀(毎熊克哉)(C)NHK

「毎熊くんがこんなにヒットしたのはビックリですけど(笑)、彼は素敵な人ですから良かったです」と演じた毎熊克哉を称えるとともに、再登場の可能性については、「あんなにしっかり死んじゃいましたからねえ(笑)。さすがに平安時代の世と言えども、なかなか難しいかなあと思います」と、残念ながら全否定となった。

今回撮影した越前編は、「物語の大きな転換点」になるそう。「本当に同じドラマとは思えないぐらい、見た目が変わると思います。そこで知り合う人たちも、全然これまでの貴族とは違う人たちです。当時(越前国の)『松原客館』に宋(中国)の商人たちが留め置かれたという記録がありますので、為時やまひろと絡ませて、ドラマティックに描けないかと思っています」と、まひろが都を離れたことで、ドラマが想像以上に変化することを予告。

『光る君へ』第21回より、越前へ向かい琵琶湖を小舟で渡るまひろ(吉高由里子)と為時(岸谷五朗)ら(C)NHK

まひろの今後についても、「越前行きや越前の生活が、その後彼女が物を書きだすにあたっての大きな転換点であり、ある種の引っ張っていく力みたいなもののひとつになっていく。せっかく(越前編を)やるからには、そのように見えるとうれしい」と、越前での生活が今後の重要な伏線になることを、力強く語った。

『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。越前編は、5月26日の第21回から放送予定。

取材・文/吉永美和子

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