岸田総理「金正恩委員長と首脳会談を…」 拉致された疑いが強い男性の妹「私が生きているうちに」 浜松市

岸田総理は4日、北朝鮮による拉致被害者家族会と面会し、「政府を挙げて全力で取り組む」としました。拉致された可能性を排除できないとされる人の家族は、事態をどう見ているのでしょうか。

家族会の代表らは4日、総理官邸を訪れ、「拉致被害者の一括帰国が実現するのであれば、日本の独自制裁の解除に反対しない」とする会の新しい運動方針を説明しました。岸田総理は、この方針を重く受け止めるとしました。

岸田総理:「今こそ現状を大胆に変えるべく、総理大臣として私自身が先頭に立ち、政府を挙げて全力で取り組んでまいります。金正恩委員長との首脳会談を早期に実現するべく、私直轄のハイレベルでの協議を進めていくと繰り返し申し上げているところであります」

横田早紀江さん:「本当に岸田総理の間に、必ずこのことは動かしていただきたい」

特定失踪者の妹は

岸田総理の発言を複雑な心境で聞いたのは、浜松市に住む河嶋智津子さん(64)です。

河嶋智津子さん:「何回も期待をして、『今回もまたダメか』という思いをさせられてきたから、本当に(岸田総理に)そういう気持ちがあるなら、所信表明とかそういう時点で発信していただきたかった」

智津子さんの兄・功一さん(65)は、42年前の1982年、友人に「北朝鮮に行く」とメッセージを残して失踪。当時23歳でした。功一さんは「北朝鮮に拉致された疑いが強い」特定失踪者と認定されて、母親の愛子さんを中心に真相究明の活動を続けていましたが、去年12月、愛子さんが死去。解決の道筋が見えない状況もあり、智津子さんは10年ほど前に活動を退きましたが、今でも「お兄ちゃん」の写真を肌身離さず持ち、帰りを願っています。

河嶋智津子さん:「歯がゆい気持ちはずっと拭いされない。私が生きているうちに会えるかどうか実際不安。一日でも早く返してもらえるような手だてをしてほしい」

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