“仮想NBAファイナル”はナゲッツに軍配!それでもバークレーはセルティックスを本命視「彼らにはすべてが揃っている」<DUNKSHOOT>

現地時間3月7日(日本時間8日、日付は以下同)、リーグベストの48勝13敗(勝率78.7%)を誇るボストン・セルティックスが敵地ボール・アリーナへ乗り込み、昨季覇者デンバー・ナゲッツとの一戦に臨んだ。

ホームで迎え撃ったナゲッツは、試合前時点でウエスタン・カンファレンス3位の42勝20敗(勝率67.7%)。今季の両チームは1月19日にセルティックスのホームで激突し、ナゲッツが102-100で競り勝っていたため、セルティックスとしてはリベンジを期した一戦となった。

試合は前半を8点リード(62-54)で折り返したナゲッツが、後半も優位に進める展開に。第4クォーター最初のポゼッションでジャマール・マレーがダンクを叩き込み、この試合最大となる12点のリード(92-80)を奪う。対するセルティックスもここから反撃に転じ、ジェイソン・テイタムやジェイレン・ブラウンらが加点し点差を縮めていく。

残り1分8秒、ドリュー・ホリデーの3ポイントが決まってついに2点差(111-109)まで接近。さらに続くポゼッションでブラウンがマレーからスティールを奪い、テイタムが決まれば逆転という3ポイントを放つも、これをミス。するとナゲッツはニコラ・ヨキッチのアシストからアーロン・ゴードンがアリウープを成功、リードを4点へと広げて激闘に終止符を打った。
最終スコア115-109で勝利したナゲッツはヨキッチが32得点、12リバウンド、11アシストのトリプルダブル。さらにマレーが19得点、6リバウンド、8アシスト、2スティール、ゴードンが16得点、9リバウンド、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープが11得点、3スティール、控えのペイトン・ワトソンが11得点、2ブロックをマークした。

一方のセルティックスではブラウンがシーズンハイの41得点、14リバウンドに4アシスト、2スティール、クリスタプス・ポルジンギスが24得点、12リバウンド、テイタムが15得点、8アシスト、2スティール、ホリデーが12得点をあげたが、リベンジは果たせなかった。

これで今季の“仮想NBAファイナル”はナゲッツの2戦全勝。2日前の試合では延長の末にフェニックス・サンズに敗れて連勝が6でストップしていたが、連覇を狙う王者は見事な立ち直りを見せたと言えるだろう。 前の試合でクリーブランド・キャバリアーズに大逆転負けを喫し、連勝が11で止まっていたセルティックスは、昨年11月8日以来、今季2度目の2連敗。

ただ、48勝14敗(勝率77.4%)は依然リーグベストで、ウエスト首位のミネソタ・ティンバーウルブズ(44勝19敗/勝率69.8%)に4.5ゲーム差をつけていることから、主力の長期離脱でもない限り、ファイナルまでのホームコート・アドバンテージを手にしてプレーオフを迎えることが濃厚だ。

この試合前、『TNT』のチャールズ・バークレー(元サンズほか)は「もし、今年彼らがチャンピオンシップを勝ち獲れなければ、完全にギャグになってしまうだろうな。あのチームにはすべてが揃っている」とセルティックスを高評価していた。

キャスターのアーニー・ジョンソンがベンチ陣の層の薄さを指摘するも、バークレーは意に介さず、こう返答した。

「おいおい、いいかい。あのチームにはテイタムにブラウン、ドリュー・ホリデーがいる。プレーオフに入ればローテーション(の人数)は縮小するんだから、ベンチ陣はそれほど重要じゃない。

彼らにはすべてが揃っている。多分ブラウンとテイタムはリーグでベスト10に入る選手だろう。それにホリデーという素晴らしいリーダーがいる。あとはおそらくベストなシックスマンがいる。スターターでもあるけどな。ポルジンギスだ。しかも、俺はここまでデリック・ホワイトを入れていない。

ポルジンギスはNBAのチームで3番手以降としては、多分ベストな男だ。ホワイトについても同様だろう。だからもし、セルティックスが勝てなかったら俺はショックを受けるだろうな」
バークレーの言葉通り、テイタム、ブラウン、ポルジンギス、ホリデー、ホワイトの5人で形成されるセルティックスの先発陣は強力そのもの。加えて、このナゲッツ戦ではベンチからアル・ホーフォード、ゼイビア・ティルマン、ペイトン・プリチャード、サム・ハウザーの4人が出場していた。おそらくプレーオフでも、この9人がローテーションに入ることになるだろう。

攻守兼備でタレントも豊富なセルティックスは、ここまでの戦績を見る限りイーストのトップシードを手にする可能性が高い。ただし、4月20日に幕を開けるプレーオフを勝ち抜くためには、ファーストラウンド、カンファレンス・セミファイナル、カンファレンス・ファイナルを突破し、さらにウエストを制したチームとのNBAファイナルでも先に4勝をあげなければならない。

はたして、東の名門は下馬評通りにプレーオフを勝ち上がり、球団史上18度目の王座獲得を成し遂げることができるのか。今回の惜敗から学び、さらに強固なチームへ進化するのか注目していきたい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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