日銀、マイナス金利解除支持に広がり 昨年上回る賃上げ期待=関係筋

Takahiko Wada Leika Kihara

[東京 8日 ロイター] - 日銀は18―19日の金融政策決定会合でマイナス金利解除を含む政策修正について議論するとみられる。日銀では昨年を上回る賃上げ実現に期待感が高まっており、政策委員の間でも同会合でのマイナス金利解除を支持する声に広がりが出ているもようだ。ただ、足元の消費の弱さを警戒する声も根強い。日銀は13日の春闘集中回答や15日の連合第1次集計まで見極めた上で、最終的に判断する。複数の関係筋が明らかにした。

ここに来て、日銀の政策委員から物価目標の実現に前向きな発言が相次いでいる。高田創審議委員が2月29日、物価目標の実現が「ようやく見通せる状況になった」と明言したほか、中川順子審議委員は7日、賃金・物価の好循環が「展望できる」と強気な見方を示した。関係筋によると、政策委員会のメンバー内で物価目標の実現に前向きな見方が広がりを見せているという。

来週は13日に春闘の集中回答、15日に連合の第1次集計が発表される。7日に連合が発表した春闘の要求集計(4日時点)によると、「平均賃金方式」で賃金引き上げを要求した傘下の3102組合の賃上げ率は加重平均5.85%と、30年ぶりに5%を上回った。日銀ではこの発表がサプライズと受け止められ、来週の春闘関連イベントへの期待感が高まっている。

第1次回答の集計率は低いが、日銀内ではリーディングカンパニーの賃上げ率が中小企業に波及すると分析しており、賃上げ動向の判断に支障はないとの指摘が出ている。中川委員は7日の講演で、雇用や賃金について「企業経営者の方々からは、人手不足に対する危機感と、賃上げに対する前向きな声が昨年にも増して聞かれるようになった」と述べている。

一方、日銀は決定会合で、生産や個人消費の現状判断を引き下げる方向で検討している。日銀では生産や消費の落ち込みは一時的とみており、経済が緩やかな回復を続けるとの先行きの見通しは維持される公算が大きい。ただ、足元の判断を一部の項目にせよ引き下げる中で、マイナス金利解除を決めることに難色を示す政策委員が出てくる可能性もある。

(和田崇彦、木原麗花)

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