札幌すすきの首切断事件「猟奇的な起訴状」に若狭勝弁護士も「異例」と驚く

瑠奈容疑者の小学校の卒業アルバム写真

2023年7月、札幌・すすきののホテルで、当時62歳の男性を殺害し、頭部を切断して持ち去った事件で、札幌地検は3月6日、田村瑠奈被告(30)、父親の修被告(60)、母親の浩子被告(62)の3人を起訴した。

札幌地検が明らかにした起訴状の要旨には、犯行の詳細が書かれてあった。

それによると、瑠奈被告は、2023年7月1日、折り畳みナイフで男性を複数回突き刺して殺害し、のこぎり等を使用して頸部を切断。キャリーケースに頭部を入れてホテルから持ち出し、父親が運転する車で帰宅。

さらに、自宅では頭部から皮膚を剥ぎ取り、左右の眼球、舌および食道気管を摘出して死体を損壊した。また、同7日に瑠奈被告は、頭部から右眼球を摘出する場面を父親にビデオ撮影させていたという。

地検が、このように猟奇的な起訴内容を明らかにするのは「異例」だと、元東京地検特捜部で弁護士の若狭勝氏が驚く。

「最近の裁判は、起訴状の段階では比較的あっさりと事件に触れ、裁判の冒頭陳述でしっかり語る傾向にあります。しかし今回、札幌地検は、目をくりぬいたとか、舌を摘出したとか、事件の悪質性を際立たせる文書にしています。

地検として起訴内容を極力オープンにしようという姿勢であり、正しいあり方だと思います。起訴した娘と両親の3人には明確な役割分担があったわけですから、それぞれの犯行内容をはっきり書かなければ起訴理由がわからないと判断したのでしょう」

もっとも、すぐに裁判が始まるわけではなさそうだ。現地記者は、「事件を起こした瑠奈被告に対し、再鑑定を求める意見書が弁護士から出されていて、裁判所の判断はこれから出る」と話す。若狭氏も、「裁判が始まるまでに1年はかかるかもしれない」との見方だ。

「地検は、犯行の動機を明らかにしていません。動機が曖昧な場合、たとえば多重人格と認定され、責任能力を問えない可能性もあります」(若狭氏)

瑠奈被告は、なぜ常軌を逸した行為に及んだのか。真相解明はまだ先になりそうだ。

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