「中干し」合わせ取水制限 猛暑対応の需要想定 豊沢川土改区計画【花巻】

 豊沢川土地改良区(久保田泰輝理事長)は、夏場の豊沢ダム(花巻市)の貯水量を確保するため、7月1~7日にかんがい用水を供給する新田堰(ぜき)頭首工の取水制限を実施することを決め、関係機関・団体に通知した。暖冬や少雪により夏の水不足が懸念されるのに加え、猛暑に対応した用水需要が高まることを想定した措置。

 同土改区によると、7月1~7日は同ダムからの放流を減らすとともに、新田堰頭首工で取水量を前年で毎秒4トンだったところを毎秒0・5トンにする。田んぼの水を抜いて乾かす水稲の「中干し」の時期に合わせて取水制限を行うことで、水稲の生育で最も水を必要とする出穂期前後の水を確保する。

 取水制限の検討は、例年6月1日~7月20日の期間中にダムの貯水量1200万立方メートル、貯水率にして50%を切った時点で行われるが、年度当初の配水計画の段階で通水制限を決定するのは異例。

 今月7日時点の同ダム周辺の累積積雪量は414センチで直近で通水制限が行われた2020年に次いで少なく、積雪深も40センチにとどまっている。23年は出穂期後も猛暑が続き9月上旬ごろまで用水需要が高かった。

 同頭首工から水が供給される農地は同市と北上市の一部の4250ヘクタールに及ぶ。今後の降雨など気象状況にもよるが、必要な時期に水を供給できなかった場合、水稲の大幅な品質低下を招く恐れがある。

 久保田理事長は「かんがい期に一番大事な水を安定供給する方法として配水計画を作成している。通水制限の時期をあらかじめ決めることで、農家には配水計画に合わせた営農に協力してほしい」と語っている。

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