富山駅に「かまぼこ美術館」 新幹線敦賀開業に合わせ 県蒲鉾水産加工業青年部が16、17日開催

細工かまぼこのイベントを開催する蒲友会のメンバー=高岡市内

  ●富山の食文化発信/鯛の細工並べ 実演も

 県内のかまぼこ製造業者でつくる県蒲鉾(かまぼこ)水産加工業協同組合青年部「蒲友会(ほうゆうかい)」は16、17日、北陸新幹線敦賀開業を祝い、富山駅で「細工かまぼこ美術館」を開催する。趣向を凝らしたかまぼこを並べて絵付けを実演し、試食品も提供する。観光客に富山ならではの「細工」を見てもらい、県民が伝統の食文化を再発見する機会にもなるよう期待する。

 イベントは蒲友会員を中心に県内16社が参加する。富山駅の新幹線改札口前で、各社が体長約40センチの「鯛(たい)かまぼこ」や自社の特徴を紹介するパネルを飾る。鯛をかたどったかまぼこは地域や会社によって製法が異なり、デザインを見比べて楽しんでもらう。全国の品評会に出品した大型細工かまぼこも展示する。

 両日とも「梅かま」(富山市)から水産練り製品製造技能士1級を持つ職人が訪れ、全国指折りの絵付けの技を披露する。16日に鯛かまぼこの試食品を用意し、かまぼこグッズを販売する。17日まで巻きかまぼこの試食品を提供する。

 鯛かまぼこは明治時代以降、鯛よりも日持ちする代替品として、結婚式の引き出物として贈られたことで県内に広がったとする説がある。一方、巻きかまぼこは江戸後期、北前船で北海道から運ばれた昆布に、すり身を載せて作ったことが始まりと伝わる。こうした歴史もパネルで紹介する。

 県内のかまぼこ製造業者の多くは能登半島地震で被害がなかったが、被害が甚大で廃業を決めた老舗店もある。

 蒲友会の広野隆一会長(39)はイベントが地域経済回復の一助になるよう願い「赤まきや鯛の細工といった富山独特のかまぼこ文化を知り、目でも舌でも楽しんでもらいたい」と語った。

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