宇垣美里 新ドラマで“サレ妻”高校教師を熱演! じつは、高校時代から日記をつける筆まめ女子

太字で、書き心地がとても滑らかという万年筆

「文字を書くのが好きなんですよ」と、笑みを浮かべながら宇垣美里(32)が見せてくれたのは、“MISATO.U”というネームが入った万年筆だ。

「百貨店の文房具コーナーで、翻訳家の柴田元幸さんとラジオでお世話になっている放送作家さんが、すごく書きやすいとおっしゃっていた万年筆を偶然、見つけて、うわぁぁぁ、これだ! と」

最初の1本はTBSのアナウンサー時代、訪れたドイツで手にした細身ながらペン先の柔らかいもの。そして、今もっとも気に入っているのが、このきらめくような深みのある白の万年筆だ。

「何色かありましたが、そのなかで、映画『ロード・オブ・ザ・リング』のエルフが使っていそうだな、と思わせる白に惹かれて、迷わずこれに決めました。太字で、書き心地がとても滑らかなんです」

文字を書く習慣は、高校時代から書き始めた日記帳で身についた。

「今でも書くのを忘れたり、面倒になったりして、3日分くらいまとめて書くこともあります。でも、毎日書いていないと、字が下手になっていく気がして。習慣化する間に、どんどん書いて発散するのがルーティンになりました」

メールの登場で文字を書く機会は減ってしまったが、手紙をもらったらやっぱり嬉しいし、どこか気持ちが温まる。

「日記以外にも、お世話になった方にこまめに手紙を書いたり、バレンタインにチョコを渡すときも、メッセージカードにちょっとした文章を書き添えるようにしています」

話す仕事のほかに、エッセイや、大好きだという映画や本、漫画のコラムなどを書くことも仕事としている宇垣。もしかして、原稿も手書き?

「原稿はパソコンです。ただ、最初の1行をどう書きだそうか? 書く順番は? 構成は? そういった骨組みは、万年筆でノートに書いてからパソコンに向かいます」

テレビ、ラジオに加え、毎月何本もの締切りを抱え、「泣きながら書いています」と苦笑いを浮かべる宇垣だが、彼女が活躍するフィールドはそれだけではない。累計発行部数300万部を突破した原作漫画を実写化した『明日、私は誰かのカノジョ』(2022年、毎日放送)をはじめ、役者としても活動の場を広げている。

「演技はまだ始めたばかりで、日々勉強という感じではありますが、そのなかでも大事にしたいと思っているのは、私が演じるキャラクターのいちばんのファンでいること。このコのことが、いちばん好きだと言える自分でいたいと思っています」

そして、もうひとつ――。

「正しいか間違っているかは別にして、人は誰でもその人なりの正義がある。じゃあ、このコの正義はどこにあるんだろうと、それを考えながらいただいた台本を何度も読んで、キャラクターについて考えるようにしています」

話す仕事。書く仕事。そして、演じる仕事。3つもあるから大変だと考えるのではなく、表現できる場所が、出力できる場所が3つもあると考えるのが宇垣スタイル。

「書く仕事は一人で、話す仕事もスタッフの方や相手はいるけれども、しゃべる内容を考えるのは自分一人。でも、ドラマは関わってくださる方がたくさんいて、それぞれのビジョンがあるから、それを合わせたときに、そうか、こうなるんだ! と、掛け算をしたことで思ってもいなかったシーンが生まれるのがおもしろいし、楽しいです」

知らなかったことを知ることで、新しい引き出しが増え、そのことにドキドキ、ワクワクしている自分を発見した。

「一人で仕事と向き合うのも楽しいのですが、限界もあって。毎日同じ人と会って、同じ作品について話し合って、みんなでひとつのゴールを目指すというのも好きなんだあ、ということに気づいて、自分でも驚いています」

そう言って目を輝かせた宇垣が今回、挑戦したのは、累計4億Viewを突破した衝撃漫画をMBSドラマ特区枠で実写ドラマ化した『シンデレラ・コンプレックス』。

宇垣が演じるのは、自分で決断することから逃げてきた高校教師の相沢舞。田中美久演じる地雷系JKと飯島寛騎演じるイケメン教師の夫に振り回される“サレ妻”で、素顔の宇垣とは正反対。もっとも遠いところに存在するキャラクターだ。

「初めて台本をいただいたときは、私ならこうはならないかもなぁと困惑しながら読んでいました(笑)。でも、私なら違う選択をするにしても、理解はできるというポイントがたくさんあって。ドラマが進むにつれて、舞の心の動きが、どう変化していくのか。そこを楽しんでもらえたら嬉しいです」

うがきみさと
1991年4月16日生まれ 兵庫県出身 2019年3月にTBSを退社。現在はフリーアナウンサー、俳優として、ドラマ、ラジオ、雑誌、広告出演のほか、連載コラムの担当や書籍の出版など執筆業もおこない、活動の幅を広げている

写真・中村 功
取材&文・工藤 晋
スタイリスト・滝沢真奈
ヘアメイク・山下智子

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