ヨーロッパ野球選手権歴代優勝国と欧州野球事情、日米で活躍する選手も

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ヨーロッパ野球選手権は2年に1度開催

野球日本代表「侍ジャパン」の2024年スタートとなった欧州代表との2連戦は、日本の2連勝で幕を閉じた。2試合とも日本の完封勝利で、特に2戦目は6投手が1人の走者も許さないパーフェクトリレー。11月に世界のトップ12カ国・地域が参加して行われる第3回プレミア12に向け、上々のスタートを切った。

一方で、欧州代表がレベルを上げていることを実感したファンも多かったのではないか。カリブ海に浮かぶオランダ領キュラソーなどの出身選手も多く、純粋なヨーロッパとは言い難いとはいえ、野球が世界に普及することは喜ばしい。

サッカーは有名だが、実は野球でもヨーロッパ選手権が開催されており、意外に歴史は古い。1954年の第1回大会はベルギーで行われ、イタリアが優勝している。

その後、レギュレーションを変更しながら2023年の第37回大会まで原則2年に1度開催。現在は16カ国が本選出場する形式となっている。

ヨーロッパ野球選手権歴代優勝国

1回 1954年 イタリア
2回 1955年 スペイン
3回 1956年 オランダ
4回 1957年 オランダ
5回 1958年 オランダ
6回 1960年 オランダ
7回 1962年 オランダ
8回 1964年 オランダ
9回 1965年 オランダ
10回 1967年 ベルギー
11回 1969年 オランダ
12回 1971年 オランダ
13回 1973年 オランダ
14回 1975年 イタリア
15回 1977年 イタリア
16回 1979年 イタリア
17回 1981年 オランダ
18回 1983年 イタリア
19回 1985年 オランダ
20回 1987年 オランダ
21回 1989年 イタリア
22回 1991年 イタリア
23回 1993年 オランダ
24回 1995年 オランダ
25回 1997年 イタリア
26回 1999年 オランダ
27回 2001年 オランダ
28回 2003年 オランダ
29回 2005年 オランダ
30回 2007年 オランダ
31回 2010年 イタリア
32回 2012年 イタリア
33回 2014年 オランダ
34回 2016年 オランダ
35回 2019年 オランダ
36回 2021年 オランダ
37回 2023年 スペイン

アレックス・リディはイタリア初のメジャーリーガー

最多の24回優勝を誇るオランダが圧倒的に強いのは、先述のオランダ領キュラソー出身の選手が多いためだ。ヤクルト時代の2013年にNPB最多記録の60本塁打をマークしたウラディミール・バレンティンもその一人。オランダ代表としてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも3度出場したが、地理的にはいわゆるヨーロッパ大陸ではなく、野球の盛んなドミニカやプエルトリコに近い。

現役メジャーリーガーではMLB通算131本塁打のオジー・アルビーズ(ブレーブス)や、174本塁打のジョナサン・スコープ(前タイガース)、MLB通算420セーブのケンリー・ジャンセン(レッドソックス)もキュラソー出身だ。

ヨーロッパ選手権の優勝回数は2位のイタリアが10回で、スペインが2回、ベルギーが1回。今回、欧州代表の一員として来日したアレックス・リディはイタリアで生まれ育った初のメジャーリーガーとして有名だ。マリナーズ時代はイチローのチームメイトとしてプレーし、現在はメキシカンリーグで活躍している。

さらに欧州代表のアレサンドロ・マエストリ投手コーチはイタリア出身で、かつてオリックスで4シーズン通算14勝を挙げた右腕。9日の巨人戦で始球式に登板する。

また、ツインズで通算153本塁打を放っているマックス・ケプラーはドイツ出身。ベルリン生まれながらバリバリのメジャーリーガーとして活躍している。

逆に西武などで活躍したG.G.佐藤はかつてイタリアでプレーし、ロッテ、阪神、DeNAで通算97勝を挙げた久保康友はドイツでプレーするなど、日本人選手がヨーロッパでプレーする例もある。

野球がヨーロッパにも普及し、日本やアメリカとの交流が活発になれば世界的スポーツとなる日が来るかもしれない。やがてWBCがサッカーのワールドカップのように世界中で盛り上がることを期待したい。



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